BMW M3 x アウディRS3 最新の四輪駆動サルーン比較 新世代な高性能 前編

公開 : 2022.01.29 09:45

歴代で初めて、オプションながら四輪駆動が搭載されたM3。新型へ一新したRS3と、英国編集部が直接比較しました。

新世代に向けた新世代のスーパーサルーン

最新のアウディRS3 サルーン。どこか真夜中の湾岸エリアが似合いそうに感じるのは、筆者だけだろうか。ビデオゲームのニード・フォー・スピードや、映画のワイルド・スピードには年齢的にハマったことはないが、金曜日の深夜に近い香りがある。

ルックスは、アフターマーケット・パーツのような、ブラックのトリムやホイールで統一されている。ヘッドライトに一体化されたLEDデイライトは、ドアロックを解除するとR、S、3と順に点灯する。街角のネオンサインのように。

ブルーのBMW M3 コンペティション M xドライブと、イエローのアウディRS3 サルーン・ローンチエディション
ブルーのBMW M3 コンペティション M xドライブと、イエローのアウディRS3 サルーン・ローンチエディション

いわゆる、ドリフト・モードも付いている。ローンチコントロールを機能させた時の撮影と、ティックトックなどのアプリとの連携が可能になったら、より完璧な、イマドキの若者向けのクルマになりそうだ。

少々皮肉めいているが、RS3 サルーンを否定するつもりはない。AUTOCARなどの自動車メディア以上に影響を持つ、SNSやカーカルチャーへ歩み寄っている。新世代に向けた、新世代のスーパーサルーンだ。

父親世代のクルマへ憧れる、息子世代は多くない。若い層は、若い層なりの道を歩む。自らのクルマだと主張できる、若々しいモデルを望んでいる。筆者自身も、父が愛していたオースチン・ヒーレーやMGBを、同じ頃は好きだと感じなかった。

最新のアウディRS3は、ちょっとワルだ。今っぽい、ターボブーストとドリフトが似合う。エグゾーストノートとローダウンは、カスタムカーの定石。アウディの開発者は、そんな嗜好へ合わせてタイトに仕立てたのだろう。

オプションで四輪駆動も選べる最新のM3

寒い冬に、ピーク・ディストリクト国立公園へ来た。グレートブリテン島の中心部に広がるワインディングが、今日の舞台。標高が高いエリアは雪が降っている。山頂付近は雲で見えない。クルマの横で立っていると、手足が凍える。四輪駆動が必要な条件だ。

生まれ変わったRS3の実力を確かめるのに、2022年の冬ほど最適な時はない。時期を重ねるように登場した、M xドライブを獲得した最新のBMW M3 コンペティションも。

アウディRS3 サルーン・ローンチエディション(英国仕様)
アウディRS3 サルーン・ローンチエディション(英国仕様)

CセグメントのRS3に、DセグメントのM3。アウディに分が悪く見えるかもしれないが、優劣ではなく、個々の能力を確かめることに主眼がある。価格差を考えれば、M3が優勢で当然といえる。

約40年の歴史を持つBMW M3は、現行型で6世代目。AUTOCARの読者ならご存知かと思うが、オプションで四輪駆動システムの、M xドライブの搭載が可能となった。

アウディRS3は、2代目A3の時代に初登場してから10年ちょっと。高性能コンパクトモデルとして、その地位を一気に確立した。

新しいRS3 サルーンには、トルクベクタリング機能付きの電子制御デフが標準装備。オプションに課金すれば、カーボンセラミック・ブレーキや、アダプティブ・スポーツサスペンションなども選べる。

それらのアイテムで武装すると、英国では6万7500ポンド(約1046万円)に達する。かなり特別なプライスだが、最高速度289km/hのアウディを入手できる。1万1000ポンド(約170万円)ほど追加すれば、M3 コンペティションも視野に入ってくるが。

記事に関わった人々

  • 執筆

    マット・ソーンダース

    Matt Saunders

    英国編集部ロードテスト・エディター
  • 撮影

    マックス・エドレストン

    Max Edleston

    英国編集部フォトグラファー
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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