BMW M3 x アウディRS3 最新の四輪駆動サルーン比較 新世代な高性能 前編

公開 : 2022.01.29 09:45

エキサイティングな体験を想起させる車内

さて、夜の都心が似合いそうなRS3を堪能するのに、自然豊かな昼間のピーク・ディストリクト国立公園は場違いかもしれない。でも道路は閑散としているから、思い切り走れる。路面は濡れ、滑りやすい。凍えるほど寒いが、凍結していない。

気温は5度。たまに見かける人影は、本気のサイクリストと、装備で身構えた登山客。彼らはクルマに興味はなさそうだが、イエローのRS3 サルーンには目が止まるらしい。想像以上に、アピール力があるようだ。

BMW M3 コンペティション M xドライブ(英国仕様)
BMW M3 コンペティション M xドライブ(英国仕様)

エンジンを温めながら、インテリアを観察する。コンパクトなアウディの車内はとても快適。デジタル技術の内容では、BMW M3といい勝負といえそうだ。

大人4名もカバーできる実用性では、車格が大きいM3が当然のように有利。ドライビングポジションもより自然だし、内装も豪華。突出したパフォーマンスを、デザインからも感じさせてくれる。

M3の運転席に座ると、真っすぐ伸びた足先へペダルが自然に並ぶ。サイドボルスターが立ち上がった、カーボンファイバー製のバケットシートが体を包む。オプションだが。

座っているだけで、エキサイティングな体験が待っていることを想起させる。ステアリングホイールとメーター用モニターが、真正面に重なる。慣れ親しんだレイアウトに、少し気持ちが落ち着く。

5気筒ターボの威嚇的なサウンド

RS3 サルーンは座面の位置が高く、操作系に対して身体が全体的に上に来る。興奮を誘うスタンスではないが、視界は良好。クルマの四隅も掴みやすい。

アウディの内装に、見入ってしまう部分はあまりない。市場によってはカラフルな装飾トリムも選べるそうだが、英国仕様はモノトーンだけの設定。ブラックのレザーに、グレーかカーボンの装飾トリムが組み合わされる。

アウディRS3 サルーン・ローンチエディション(英国仕様)
アウディRS3 サルーン・ローンチエディション(英国仕様)

リアシートは、高校生くらいの子供には少し窮屈かもしれない。それ以下なら不平は出ないだろう。インテリアの実用性や素材の質感、華やかさでは、M3に届いていない。エモーショナルな刺激も。

RS3 サルーンの赤いスタートボタンをして、アウディ謹製の5気筒ターボエンジンを目覚めさせる。BMWのストレート6へ負けないほど、威嚇的なサウンドを放つ。5気筒らしい特長も併せ持っている。

両車とも、デフォルトのドライブモードは至って社交的。だが指先の操作で、アクティブ・エグゾーストとサウンド・ジェネレーターを、開放的なものに変えられる。アダプティブダンパーと駆動系、スタビリティ・コントロールの設定も同様に。

400psを発揮するRS3 サルーンのパワーウエイトレシオは、約253ps/t。車重がかさむBMW M3の最高出力は510psで勝るが、その差は33ps/tに過ぎない。

今回走るエリアの路面は、滑らかなものから小石が浮いたものまで様々。タイトなコーナーと、大きな起伏が連続する区間に、長いストレートが組み合わされている。より軽量なRS3がM3に並ぶ能力を示すことも、可能かもしれない。

この続きは後編にて。

記事に関わった人々

  • 執筆

    マット・ソーンダース

    Matt Saunders

    英国編集部ロードテスト・エディター
  • 撮影

    マックス・エドレストン

    Max Edleston

    英国編集部フォトグラファー
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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