マツダ・サバンナRX-7xポルシェ944 S2 似た見た目・異なる個性 2台のカブリオレ 前編

公開 : 2022.09.11 07:05

911から影響を受けたダッシュボード

ルーフの切除に合わせてシャシーを強化し、専用のフロアパンを溶接。ボディシェルの要所要所には、補強用ブレースも追加された。フロントガラスの高さが削られ、ルーフラインはクーペより低くなっている。

944の特徴といえた大きなガラスハッチは、フラットなデッキパネルへ交換。トランスアクスルの上に充分な荷室を確保するため、リアエンドはクーペより若干高くなっているが、折りたたまれたソフトトップが載ることでバランスは悪くない。

ポルシェ944 S2 カブリオレ(1989〜1991年/英国仕様)
ポルシェ944 S2 カブリオレ(1989〜1991年/英国仕様)

リアビューは、スクエアなテールライトとS2特有のスプリッターが相乗し、シンプルでありながら個性的。ジャーマン・クラシックとして、訴求力のある見た目だと思う。

944 S2のダッシュボードは、911から影響を受けたであろう4連メーターや、きれいに整列したスイッチ類が好印象。ビニールレザー張りで仕立てられている。

ボディと同じガーズレッドとブラックのツートーン・シートは、自己主張が強い。当時物の自動車電話に、ブラウプンクト・ドレスデン社製のカーステレオなど、イケイケだった時代の記憶が蘇るという読者もいらっしゃるだろう。

一方で、走りにはもう少しの時代を感じる。ステアリングホイールとペダルは想像以上に重く、低速域では硬いサスペンションがシートへ振動を伝える。反応には若干の曖昧さが伴い、起源とする技術が1970年代にあることをうかがわせる。

速度が上昇するほど扱いやすくなる

3.0Lと巨大な直4エンジンは、変速を多少サボっても不足ないトルクをみなぎらせる。右足へ少し力を込めれば、ポルシェらしいスピードへスルスルと加速していく。さらに倒すと、ザラついたノイズとともにパワーが放たれ、背中がシートへ押し付けられる。

速度が上昇するほど、ステアリングホイールやペダル、トランスミッションが扱いやすくなっていく。路面がうねっていても、突出した安定性で意に介さない。

ホワイトのマツダ・サバンナRX-7 カブリオレと、レッドのポルシェ944 S2 カブリオレ
ホワイトのマツダ・サバンナRX-7 カブリオレと、レッドのポルシェ944 S2 カブリオレ

タイトなシートに身体を委ね、優秀なサスペンションの仕事ぶりや感触豊かな操舵感に浸る。長いボンネット越しの視界と、トランスアクスルの重量配分を味わいながら、連続するカーブを正確に抜けられる。望外の楽しさ、というわけではないが。

そんなポルシェの印象とは対象的に、FC型のマツダ・サバンナRX-7はエネルギーに溢れている。ステアリングホイールは指先で操れるほど軽い。コーナーからコーナーへ、軽快に飛び込んでいく。落ち着き払った944 S2と比べると、より自由度が高い。

2基のロータリーがターボの過給圧を高めるまで、少々の時間を要する。準備が整えば、大きなトルクの波に乗るように、勢いよく前方へ押し出される。

小気味よくエンジンは回転し、トップエンドまで鋭いアクセルレスポンスは衰えない。7000rpmに設定されたレッドラインは、少々過保護に思えるほど。公道では、スピードを自制しながら走ることが難しい。

この続きは後編にて。

記事に関わった人々

  • 執筆

    アーロン・マッケイ

    Aaron McKay

    英国編集部ライター
  • 撮影

    ウィル・ウイリアムズ

    Will Williams

    英国編集部フォトグラファー
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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