ポルシェ944の「高次元なライバル」 マツダRX-7(FC型) 真打ちはロータリー 英国版中古車ガイド

公開 : 2023.12.19 19:05

電動化への過渡期にあって、ロータリーエンジンを堪能できるRX-7 2代目はグランドツアラー寄り 944の高次元なライバル 英国編集部が魅力を再確認

グランドツアラー寄りの2代目 カブリオレも

電動化への過渡期にあって、ロータリーエンジンを堪能する方法はまだ残っている。新しいMX-30にもレンジエクステンダーとして搭載されたが、そのパワーを直接路面へ伝えたいなら、RX-7が理想的な選択肢だろう。マニアから、一目置かれる存在でもある。

RX-7には3世代が存在し、近年は3代目のFD型が脚光を集めている。初代のFB(SA22)型は、オリジナルとしての価値がある。だが2代目のFC型も、比較的手頃で1980年代の魅力に溢れるチョイスといえる。

マツダRX-7 カブリオレ(FC型/2代目/1987〜1992年/英国仕様)
マツダRX-7 カブリオレ(FC型/2代目/1987〜1992年/英国仕様)

FC型の生産が始まったのは、1985年。当初の欧州仕様には自然吸気の2ローターエンジンが載り、150psの最高出力を得ていたが、1986年にはツインスクロールターボを獲得。180psまで一気に増強された。

1989年にフェイスリフト。ローターの軽量化と高圧縮化、エンジン制御システムの改良などで、欧州仕様の最高出力は200psへ向上した。この仕様は、ターボIIと英国では呼ばれている。

初代と3代目は、シリアスなスポーツカーという性格付けだったが、2代目はグランドツアラー寄りの味付けにあった。アメリカ市場での、シェア拡大が狙われていた。その結果、RX-7では唯一となるカブリオレも追加されている。

今回の車両は、マツダUKが保管する1991年式RX-7 ターボII カブリオレ。BBSのアルミホイールとレザー内装は、標準装備だった。

当時から物議を醸していたのが、スタイリング。リトラクタブル・ヘッドライトのポルシェ944と似ていたことは否定できない。またマツダの技術者は、サスペンション開発でポルシェ928を参考にしたといわれている。

944の高次元なライバル 真打ちはロータリー

それでも、筆者はFC型がプアマンズ・ポルシェだとは思わない。運転が最高に楽しい、高次元のライバルにあった。

当時でも、スポーツカーとしてはサスペンションが柔らかめだったものの、軽量でシャシーバランスに優れ、秀でたグリップ力を引き出していた。快適なだけでなく、積極的なコーナリングも得意としていた。

マツダRX-7 カブリオレ(FC型/2代目/1987〜1992年/英国仕様)
マツダRX-7 カブリオレ(FC型/2代目/1987〜1992年/英国仕様)

ステアリングは軽くダイレクト。5速MTは、キビキビと正確に次のギアを選べる。純粋に、操ることへ喜びがあった。

さらに、RX-7の真打ちはロータリーエンジン。アイドリング時のボロボロという特徴的なノイズは、回転数の上昇とともに咆哮へ変わる。ターボチャージャーの悲鳴も重なり、唯一といえる音響体験を味わえる。

7000rpmか8000rpmへ設定されたレブリミットまで、意欲的に回転もする。0-97km/h加速は、RX-7 ターボIIで6.7秒がうたわれていたが、体感としてはそれ以上に鋭い。ロータリーエンジンは軽量コンパクトで、フロントノーズの動きも軽快だ。

ただし、好調を保つには丁寧なメンテナンスが欠かせない。それを怠らなければ、価値あるカーライフを謳歌できるはず。

FD型の人気上昇の傍らで、FC型はそこまで取引価格が高騰していないのも魅力。世界中のマニアから注目が向けられる前に、状態の良い1台を探してみてはいかがだろう。

記事に関わった人々

  • 執筆

    オリバー・ヤング

    Oliver Young 

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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