【詳細データテスト】ケータハム・セブン 調整式のダンパーを初採用 音と乗り心地は強烈 価格は高い

公開 : 2022.09.10 20:25

レースカーがベースのロードカーは、さまざまな状況に対応できる調整式ダンパーを装備。峠道などでも楽しめるクルマですが、やはり真骨頂を見せるのはサーキット。快適な街乗りは諦めて、高価格に納得できるならおすすめです。

はじめに

ケータハムは、レースモデルのホモロゲーションを取得するための、高性能な限定モデルを製造する必要はない。しかし、もしそうするのであれば、それはこの420カップのようなものになるはずだ。

見間違えようのない、ケージを備え、定番のスタイルに仕立てられたニューモデルは、メーカーの言葉を借りれば、サーキットに特化して造られたマシンだ。メカニカルな内容は、420Rをベースに妥協なく作り込まれた、ケータハム・セブン・チャンピオンシップ用のレースカーがベースとなっている。

テスト車:ケータハム・セブン420カップ
テスト車:ケータハム・セブン420カップ    MAX EDLESTON

その目指したところは、スリックタイヤを履いた競技車両のロードゴーイングバージョンを仕立てることにほかならない。狙いは、レースカーに比べればわずかにラグジュアリーで、実用に堪えるという程度の乗用車、というわけだ。

また同時に、これはケータハムの「中の人」たちが、主にサーキット走行会で楽しむために造ったクルマでもあるらしい。そういった出自を誤魔化すために、既存のセブンの格好をさせたようなものだ。

そうはいっても、はたしてその中の人たちが楽しみを享受できているのか、疑問を覚えるかもしれない。ケータハムの受注台数はいまや年間500台の生産キャパシティを上回り、ガトウィックのショールームを、ダートフォードに続く第2の生産工場への改装している真っ最中だ。

かようにビジネスは順調なのだが、厳しい決断を迫られている現状もある。昨年、フォードの1.6Lシグマユニットが入手不可能になり、現在の主力エンジンである2.0Lデュラテックは2025年までの供給を保証されているものの、その後も継続的に使い続けられるわけではない。

適切な代役となるエンジンを見つけるのは容易ではなく、電動化の影が不気味に迫りつつある。軽さが命のクルマを作るメーカーにとって、それは脅威以外のなにものでもない。

しかし、今はそれについて掘り下げるときではない。420カップのレシピが明らかになったのだから、それを検証するチャンスに感謝しよう。とてつもないクルマであることは期待できるが、はたしてその期待にどこまで応えてくれるのか、はたまたそのはるか上をいくほどとてつもないのか。

5万4990ポンド(約907万円)という値付けでは、ハードコアなセブンの信者でさえ迷わず購入を決められるものではなさそうだ。そして突き詰めれば、これはケータハム最速モデルというわけではない。

セブンのラインナップには、420カップと同じダッシュボードとギアボックスに、スーパーチャージドユニットを組み合わせた620Rという、スーパーカーも真っ青のモデルがある。545kgのウェイトに310psというモンスターだ。

とはいえ、自然吸気のスパルタンな420カップは、強烈なセブン体験を、公道でもサーキットでも味わえるモデルであることは間違いない。それを確かめてみたい。

記事に関わった人々

  • 執筆

    リチャード・レーン

    Richard Lane

    役職:ロードテスト副編集長
    2017年よりAUTOCARでロードテストを担当。試乗するクルマは、少数生産のスポーツカーから大手メーカーの最新グローバル戦略車まで多岐にわたる。車両にテレメトリー機器を取り付け、各種性能値の測定も行う。フェラーリ296 GTBを運転してAUTOCARロードテストのラップタイムで最速記録を樹立したことが自慢。仕事以外では、8バルブのランチア・デルタ・インテグラーレ、初代フォード・フォーカスRS、初代ホンダ・インサイトなど、さまざまなクルマを所有してきた。これまで運転した中で最高のクルマは、ポルシェ911 R。扱いやすさと威圧感のなさに感服。
  • 執筆

    マット・ソーンダース

    Matt Saunders

    役職:ロードテスト編集者
    AUTOCARの主任レビュアー。クルマを厳密かつ客観的に計測し、評価し、その詳細データを収集するテストチームの責任者でもある。クルマを完全に理解してこそ、批判する権利を得られると考えている。これまで運転した中で最高のクルマは、アリエル・アトム4。聞かれるたびに答えは変わるが、今のところは一番楽しかった。
  • 撮影

    マックス・エドレストン

    Max Edleston

    英国編集部フォトグラファー
  • 翻訳

    関耕一郎

    Kouichiro Seki

    1975年生まれ。20世紀末から自動車誌編集に携わり「AUTOCAR JAPAN」にも参加。その後はスポーツ/サブカルチャー/グルメ/美容など節操なく執筆や編集を経験するも結局は自動車ライターに落ち着く。目下の悩みは、折り込みチラシやファミレスのメニューにも無意識で誤植を探してしまう職業病。至福の空間は、いいクルマの運転席と台所と釣り場。

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