中国発のゲームチェンジャー オラ・ファンキーキャットへ試乗 航続310km 競争力は高い

公開 : 2022.12.05 08:25

中国の振興メーカー、オラがリリースした新型BEV。快適な乗り心地や装備、内装など、競争力は高いと英国編集部は評価します。

写真で見る印象よりひと回り大きい

いすゞスバル三菱の輸入代理店をしていた英国のインターナショナル・モータース社は、新しい取引先を開拓した。中国の振興自動車メーカー、オラがリリースした航続距離310kmのファンキーキャットを輸入し始めたのだ。

既に初期導入の何台かが上陸済み。数週間後には、最初の顧客へ納車される予定だという。バッテリーEV(BEV)へのシフトの中で、ポールスターやDS、ジェネシスのように、勢いを伸ばすブランドもある。オラも、その一角になるだろうか。

オラ・ファンキーキャット・ファーストエディション(英国仕様)
オラ・ファンキーキャット・ファーストエディション(英国仕様)

ファンキーキャットは、写真で見る印象よりひと回り大きい。ボディは丸く可愛らしいが、全長4235mm、全幅1825mm、全高1603mmというサイズで、ホンダeやフィアット500eではなく、フォルクスワーゲンID.3ヒョンデコナ・エレクトリックの方に近い。

インターナショナル・モータース社のスタッフも、本物のクルマが届くまでリアシート側に広々とした空間が備わることを、顧客へ伝えにくかったと説明する。また、MGモーターのMG 4より価格帯が上であることも強調する。僅かだが、高級側にある。

一方で輸入代理店もメーカーも、まだ英国で大きなシェアを獲得しようとまでは考えていない。2023年末までの販売目標は約5000台で、毎月の堅調な販売と、プレミアムなイメージ形成を狙っている。

感心するほど落ち着いた乗り心地

現在英国で購入できるファンキーキャットは、かなり装備が充実したファーストエディションのみ。2023年には、シャシーとスタイリングに手が入った、スポーティなファンキーキャット GTも導入予定だ。

61kWhの駆動用バッテリーで、航続距離が420kmまで伸びるロングレンジ仕様も追加される。スポーティでロングレンジな、ネクストキャットも控えている。

オラ・ファンキーキャット・ファーストエディション(英国仕様)
オラ・ファンキーキャット・ファーストエディション(英国仕様)

オラの担当者は、大型車に採用されるような技術と上級感を、ファンキーキャットに与えたと主張する。動的能力にも、それは現れているという。

確かに、適度なサイズで混雑した市街地を抜けやすいのと同時に、クラス上のモデルのように荒れた路面でも安定性は失われにくい。乗り心地は、感心するほど落ち着いている。

高速道路を走らせれば、リラックスしたまま車線を維持できる。大型トラックの横を通り過ぎても、風であおられるようなことはない。最高出力は171psと驚く数字ではないものの、追い越し車線や合流車線でも、不足ない加速力を発揮してくれる。

郊外の道を飛ばし気味に運転しても、上級な印象は続く。舗装の剥がれた穴をうまく丸め込み、隆起部分を超えても滑らかに揺れを吸収してくれる。

高速域では風切り音が少し目立ち、ロードノイズも車内へ響くが、疲労を感じるほどうるさくはない。キルト加工されたシートは1950年代のアメ車的なデザインだが、クッションが肉厚で座り心地は良い。自分にピッタリのポジションも見つけやすい。

記事に関わった人々

  • 執筆

    フェリックス・ペイジ

    Felix Page

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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