ウラカン・シリーズのV10は忘れない! 自然吸気・純エンジン車のランボルギーニに感謝

公開 : 2023.02.25 18:35

ランボの60周年とともに、純エンジン車であるウラカン・シリーズも終わりを迎えます。自然吸気V10だけで走れるランボの新車、買える日は残り少ないです。

進化を続けたウラカンとV10

ランボルギーニは2022年をもって、内燃機関だけを積む車種の新車発表を終了し、今年からは電動化車両のみを送り出すと公表している。

日本では今週鈴鹿サーキットで発表されたオフロード志向のウラカン・ステラートが、最後の非電動ランボルギーニになるはずだ。

ウラカン・シリーズ(写真)もいよいよ最終章。日本ではウラカン・ステラートが今週アンヴェールされた。中国では4月の上海モーターショーで、60周年記念の特別仕様車がお披露目される見込み。
ウラカン・シリーズ(写真)もいよいよ最終章。日本ではウラカン・ステラートが今週アンヴェールされた。中国では4月の上海モーターショーで、60周年記念の特別仕様車がお披露目される見込み。    前田惠介

そんな中で行われた2023年のJAIA輸入車試乗会で、ウラカン・エボ・フルオ・カプセルに乗る機会を得た。

フルオ・カプセルは、外観は5タイプの蛍光カラーをメインとした2トーンとし、内装はブラックベースでアクセントカラー/トリムの選択肢を用意したもので、すでに完売となっている。

中身は従来のウラカン・エボと共通。つまり2014年にガヤルドの後継車として発表されたウラカンをベースに、2019年に登場した進化型だ。ボディはクーペとスパイダー、駆動方式はRWDとAWDがあり、試乗車はクーペAWDだった。

コクピット背後に縦置きされるのは、いまや希少となった大排気量自然吸気ユニット。5.2L V型10気筒は最高出力640ps/8000rpm、最大トルク61.2kg-m/6500rpmを発生し、7速DCTを介して4輪を駆動する。

640馬力を使い切れ LDVIとは

このユニットはかつてニュルブルクリンク北コースで量産車トップタイムをマークした限定車、ウラカン・ペルフォルマンテと同じものだ。

それ以上にウラカン・エボのトピックとなるのが、LDVI(Lamborghini Dinamica Veicolo Integrata)の導入だろう。

自然吸気V10を積んだランボの“純エンジン車”を、新車で買える日数も残り少ない。テスト車両のウラカン・エボ・フルオ・カプセルは、すでに完売している。
自然吸気V10を積んだランボの“純エンジン車”を、新車で買える日数も残り少ない。テスト車両のウラカン・エボ・フルオ・カプセルは、すでに完売している。    前田惠介

簡単に言ってしまえば電脳化であるが、その中身は後輪操舵や4輪トルクベクタリングシステムなどを統合制御するうえに、ドライバーの気持ちを先読みして、それに見合った制御を入れるという先進的な内容だ。

全長4520mm、全幅1933mm、全高1165mmというサイズを持つボディもエボへの進化に伴い、エアロダイナミクス向上を施している。とはいえひさしぶりにウラカンに触れる人間にとっての第一印象は、まぎれもないランボルギーニというものだ。

それでいてマットブラックのサイドミラーやエアダム、リアスプリッターなどにボディ同色の挿し色を入れた姿は、ランボルギーニとしては落ち着いていて、個人的にはSTOやペルフォルマンテよりずっと受け入れやすい。

フルオ・カプセル 内装をチェック

コクピットはまず、イエローでステッチされたファイティングブルとウラカン・エボのロゴが目立つ。スタート&ストップボタンのカバーともども、フルオ・カプセルのパッケージに含まれているものだ。

インパネやセンターコンソールなどには、オプションで用意されるランボルギーニ独自開発の複合素材、 Forged Compositesが奢られている。

ウラカン・エボ・フルオ・カプセルの内装。創業60周年イベントのために来日したヴィンケルマンCEOは、3月末にアヴェンタドールの後継となるV12の電動モデルが登場すると明言。
ウラカン・エボ・フルオ・カプセルの内装。創業60周年イベントのために来日したヴィンケルマンCEOは、3月末にアヴェンタドールの後継となるV12の電動モデルが登場すると明言。    前田惠介

ヘキサゴンを多用したディテールとともに、フェラーリともマクラーレンとも異なる、ランボルギーニならではの世界観を、明確に表現していると感じた。

試乗車のシートは標準のコンフォートシートだったので、ヒップポイントはかなり低いものの、クッションはしっかり感じるし、ステアリングを含めて大幅な調節ができるので、理想のドライビングポジションが取れた。

イエローのカバーを開けてスタートスイッチを押すと、背後で轟音とともにV10が目覚める。

まずはトランスミッションをオート、ドライブはもっともおとなしいストラーダモードにして走り出すと、回転を低く抑えたまま、速度だけをスルスル上げていく。

記事に関わった人々

  • 執筆

    森口将之

    Masayuki Moriguchi

    1962年生まれ。早稲田大学卒業後、自動車雑誌編集部を経てフリーランスジャーナリストとして独立。フランス車、スモールカー、SUVなどを得意とするが、ヒストリックカーから近未来の自動運転車まで幅広い分野を手がける。自動車のみならず道路、公共交通、まちづくりも積極的に取材しMaaSにも精通。著書に「パリ流環境社会への挑戦」(鹿島出版会)「MaaSで地方が変わる」(学芸出版社)など。
  • 撮影

    前田惠介

    Keisuke Maeda

    1962年生まれ。はじめて買ったクルマは、ジムニーSJ30F。自動車メーカーのカタログを撮影する会社に5年間勤務。スタジオ撮影のノウハウを会得後独立。自動車関連の撮影のほか、現在、湘南で地元密着型の写真館を営業中。今の愛車はスズキ・ジムニー(JB23)
  • 編集

    徳永徹

    Tetsu Tokunaga

    1975年生まれ。2013年にCLASSIC & SPORTS CAR日本版創刊号の製作に関わったあと、AUTOCAR JAPAN編集部に加わる。クルマ遊びは、新車購入よりも、格安中古車を手に入れ、パテ盛り、コンパウンド磨きで仕上げるのがモットー。ただし不器用。

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