ウラカン・シリーズのV10は忘れない! 自然吸気・純エンジン車のランボルギーニに感謝

公開 : 2023.02.25 18:35

今だけのサウンド どんな感じ?

乗り心地は、太くて扁平なタイヤからの硬質なショックは伝わるものの、この程度のスピードでもサスペンションのストロークは感じられ、角はうまく丸め込んでくれるので、自然吸気V10の響きを耳にしながら、快適に距離を重ねていける。

でもそれはウラカン・エボにとっては副業と呼べる領域。本来の能力を試すべく、高速道路に出たところでマニュアルモードに切り替え、右足に力を込める。

2024年には、現在のウラカンにあたるベビーランボのハイブリッド化モデルが発表されるという。写真はランボルギーニ・ウラカン・エボ・フルオ・カプセル。
2024年には、現在のウラカンにあたるベビーランボのハイブリッド化モデルが発表されるという。写真はランボルギーニ・ウラカン・エボ・フルオ・カプセル。    前田惠介

V10独特のサウンドを響かせながら、8500rpmから始まるレッドゾーンまで、澱みなくきっちり回りきる。

スペックの数字でもわかるように、回していくにつれパワーとトルクがリニアに上乗せされていく感じで、レスポンスはあらゆる回転域でリニア。ターボエンジンでは味わえない感触を堪能できる。

音はストラーダからスポーツ、コルサと切り替えていくにつれて、少しずつ激しくなっていく。

それはターボエンジンのような、排気音に支配されたものとは違う。機械の音がしっかり感じ取れる。自然吸気にこだわり続けてくれたことに感謝したくなる。

純エンジン・ランボとのお別れ

この日のステージで試す限り、ハンドリングは自然そのもの。

裏ではLDVIがきめ細かい制御をしているのだろうが、四輪操舵をはじめとして、技術を誇示するような効きを示すことは皆無で、高水準の走りを安心安全の中で味わうことができる。

ウラカン・エボ・フルオ・カプセルの取材車両は、センターコンソール、空調のエアアウトレット・サラウンド、インナードアグリップを複合素材のForged Compositesで仕立てている。
ウラカン・エボ・フルオ・カプセルの取材車両は、センターコンソール、空調のエアアウトレット・サラウンド、インナードアグリップを複合素材のForged Compositesで仕立てている。    前田惠介

一部の人がランボルギーニというブランドから受ける一種の危うさが、まったく感じられない。というか想像以上にクレバーなスーパーカーだった。

だから作り手は操る楽しさを重視する人向けに、後輪操舵を省いたRWDも用意してきたのだろうが、今後電動化を進めていく際に、LDVIのようなテクノロジーがより有効になり、ランボルギーニというブランドのアドバンテージになることは間違いない。

とはいえ今回の試乗であらためて、自然吸気V10の存在感の大きさを再確認したことも事実。

ライバルがターボ化や電動化を進める中、それをキャラクターとしてアピールしてきたランボルギーニが、自分がその立場に立った時どういう表現をするのか。

熟成の域に達したウラカン・エボを堪能して思い浮かんだのは、今後もランボルギーニらしい道を切り拓いていってほしいという願いだった。

ウラカン・エボ スペック

ランボルギーニ・ウラカン・エボ・フルオ・カプセル

全長:4520mm
全幅:1933mm
全高:1165mm
最高速度:325km/h
0-100km/h加速:2.9秒
CO2排出量:332g/km
乾燥重量:1422kg
パワートレイン:5204cc V10
使用燃料:ガソリン
最高出力:640ps/8000rpm
最大トルク:61.2kg-m/6500rpm
ギアボックス:7速DCT

640ps/61.2kg-m(ボア84.5mm×ストローク92.8mm)を発揮する5.2L自然吸気V10ユニット。
640ps/61.2kg-m(ボア84.5mm×ストローク92.8mm)を発揮する5.2L自然吸気V10ユニット。    前田惠介

記事に関わった人々

  • 執筆

    森口将之

    Masayuki Moriguchi

    1962年生まれ。早稲田大学卒業後、自動車雑誌編集部を経てフリーランスジャーナリストとして独立。フランス車、スモールカー、SUVなどを得意とするが、ヒストリックカーから近未来の自動運転車まで幅広い分野を手がける。自動車のみならず道路、公共交通、まちづくりも積極的に取材しMaaSにも精通。著書に「パリ流環境社会への挑戦」(鹿島出版会)「MaaSで地方が変わる」(学芸出版社)など。
  • 撮影

    前田惠介

    Keisuke Maeda

    1962年生まれ。はじめて買ったクルマは、ジムニーSJ30F。自動車メーカーのカタログを撮影する会社に5年間勤務。スタジオ撮影のノウハウを会得後独立。自動車関連の撮影のほか、現在、湘南で地元密着型の写真館を営業中。今の愛車はスズキ・ジムニー(JB23)
  • 編集

    徳永徹

    Tetsu Tokunaga

    1975年生まれ。2013年にCLASSIC & SPORTS CAR日本版創刊号の製作に関わったあと、AUTOCAR JAPAN編集部に加わる。クルマ遊びは、新車購入よりも、格安中古車を手に入れ、パテ盛り、コンパウンド磨きで仕上げるのがモットー。ただし不器用。

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