6代目へモデルチェンジ メルセデス・ベンツEクラス E 300eへ試乗 クラス4の自律システム実装

公開 : 2023.07.27 08:25

最先端の車載技術とHVシステムを搭載した6代目が誕生。ミニSクラスと呼びたくなる雰囲気だと、英国編集部は評価します。

一度の充電で114km走れるPHEV

新しい6代目メルセデス・ベンツEクラスへ初対面したのは、オーストリア・ウイーンの高級ホテル。ドアを開けようとまっさらなボディへ近づくものの、展開式のドアハンドルが動かない。

おかしいな、と確認すると、メルセデス・ベンツが用意していたサポート車両のSクラスだった。自動車ジャーナリストでありながら既存モデルと間違えるとは、お恥ずかしい限り。弁明させていただくと、新しいEクラスはSクラスと良く似ているのだ。

メルセデス・ベンツEクラス E 300e(欧州仕様)
メルセデス・ベンツEクラス E 300e(欧州仕様)

Eクラスに相当するバッテリーEV、EQEより見慣れたプロポーションが与えられ、ボンネットは長い。フロントグリルはしっかり大きく、凸型の3ボックス・シルエットで構成されている。お望みなら、少しクラシカルなアルミホイールも選べる。

新しいEクラスは、マイルド・ハイブリッドかプラグイン・ハイブリッドのみの展開となる。トランスミッションは、共通で9速オートマティックが搭載される。

電気モーターでアシストされる2.0L 4気筒ターボガソリンで、システム合計203psのE 200が1番ベーシックな仕様。195psを発揮する、2.0LディーゼルターボのE 220dも設定される。

6代目で最も注目を集めると思われるのが、プラグイン・ハイブリッドのE 300eだろう。駆動用バッテリーは24.1kWhと大きく、一度の充電で114kmも電気の力だけで走行可能。このクラスでは、エンジンを回さずに最も遠くまで目指せる1台となる。

シームレスに切り替わるパワートレイン

駆動用バッテリーに充分な電気が蓄えられている限り、E 300eはデフォルトでエレクトリック・モードが選ばれる。駆動用モーターの最高出力は156psあるが、車重は約2tと重く、発進加速が鋭いわけではない。

とはいえ、市街地の交通には問題なく交わえる。ほぼ無音のラグジュアリーな雰囲気のまま、140km/hまで加速も可能だ。

メルセデス・ベンツEクラス E 300e(欧州仕様)
メルセデス・ベンツEクラス E 300e(欧州仕様)

直列4気筒エンジンが始動しても、日常的な条件ではパワートレインが切り替わったことへ気付くことが難しい。バトンタッチは極めてシームレスで、エンジンノイズも最小限。風切り音やロードノイズもほぼ聞こえず、安楽に高速移動をこなせる。

特筆すべきは、レベル4まで対応する自律運転システム。許される環境でレーダーを用いたクルーズコントロールを有効にすれば、車線に沿って走るだけでなく、遅いクルマを自動的に追い越してくれる。

慣れるまでは不気味にすら感じられるが、極めて自然で滑らかに走る。数分もすれば、不安感は消えるだろう。欧州では、2024年以降に利用が許可される予定だ。

英国仕様の場合、サスペンションはアダプティブダンパーとスチールコイルという組み合わせ。エアサスは用意されるが、英国では選べないという。

試乗車はエアサスだったが、路面の凹凸を見事に処理し、アスファルトが剥がれた大きな穴や、橋桁の継ぎ目といった小さな不整もしっかり均していた。舗装状態の悪いグレートブリテン島と相性は良いように思うのだが、導入されない理由を知りたくなる。

記事に関わった人々

  • 執筆

    ニール・ウィン

    Neil Winn

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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