メルセデス・ベンツが快適でBMWがスポーティ? 最新 Eクラス vs 5シリーズ プラグインHVを比較試乗(2)

公開 : 2024.06.08 09:46

半世紀の直接バトルが続く、メルセデスのEクラスとBMWの5シリーズ 最新のプラグインHV世代、E 300eと530eの優劣はいかに パワートレインとスペックは近似 英国編集部が2台を比較

爽快な加速力 乗り心地はE 300eが有利

メルセデス・ベンツE 300eも、BMW 530eも、道幅の狭いワインディングを除けば、能力の高さを享受できる。530eは引き締まった姿勢制御で、E 300eよりひと回り大きいボディを巧みに補っている。

アクセルペダルの角度に対し、積極的に電気アシストが加えられ、爽快な加速を引き出しやすい。2.0L 4気筒ガソリンターボを、レッドラインまで引っ張る必要性は低い。

レッドのBMW 530e Mスポーツ・プロと、シルバーのメルセデス・ベンツEクラス E 300e AMGライン・プレミアムプラス
レッドのBMW 530e Mスポーツ・プロと、シルバーのメルセデス・ベンツEクラス E 300e AMGライン・プレミアムプラス

特徴では、従来の6気筒ユニットに届かないことも事実。サウンドチューニングと、スピーカーから発せられる人工音で、音響的には滑らかで聴き応えがあるとしても。

乗り心地は、E 300eが有利。アダプティブダンパーが組まれるBMW 550eは優しく路面の不整をいなすものの、可変しないMスポーツ・サスペンションが支える530eは、路面の凹凸を拾いがち。振動は良く減衰されているが、高速道路でも少し落ち着かない。

E 300eは、荒れたアスファルトでは若干硬すぎる印象があるとはいえ、高速道路では穏やかに転じ、長距離移動も疲れ知らずだろう。もっとも、ブランドとしての方向性の違いともいえ、乗り手の受け止め方で評価は変わりそうだが。

扱いやすいMBUX コスト削減が見える530e

インテリアは、例によってタッチモニターが評価の中心といえる。パワーシートやデジタル化などは、当然のものとなった。

BMWとメルセデス・ベンツでアプローチは異なり、530eはロータリーコントローラーとショートカットキーを残した、iドライブ・システムを継承。ほぼタッチモニターへ集約された、E 300eより運転中は操作しやすく思えるだろう。

BMW 530e Mスポーツ・プロ(英国仕様)
BMW 530e Mスポーツ・プロ(英国仕様)

ところが、メニュー構造が深く複雑。特定の項目へ辿り着くまでに、多くの入力が求められる。ロータリーコントローラーには触覚的なフィードバックがなく、結局はタッチモニターを見る必要もある。トリップコンピューターのリセットも、簡単ではない。

メルセデス・ベンツのMBUXシステムは、主要な機能を2回のタップで操作できる。筆者は、こちらの方が扱いやすいと感じた。高級車にとって、走行中にイライラさせないというのは重要な品質の1つだと思う。

内装の素材は、明らかにE 300eの方が上だろう。530eもこだわりを感じるが、例えばスピーカーのグリルは、前者がレーザーカットされた金属なのに対し、後者はプラスティック製と違いがわかりやすい。

パワーウインドウ・スイッチは飾り気がなく、ダッシュボードやセンターコンソールは、グロスブラックとクリアのプラスチックが目立つ。シフトセレクターのタッチも今ひとつ。BMWによるコスト削減が、現れているといっていい。

E 300eも、確かにコスト削減の結果はわかる。だがインテリアには統一感があり、心象の低下を最低限に留めている。

記事に関わった人々

  • 執筆

    イリヤ・バプラート

    Illya Verpraet

    英国編集部ライター
  • 撮影

    ジャック・ハリソン

    JACK HARRISON

    英国編集部フォトグラファー
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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