マクラーレン675LT

公開 : 2015.05.22 23:00

パワーユニット

675LTが搭載するのは他のマクラーレン・モデルと同じく3.8ℓ V8ツイン・ターボ。ただし50%以上のパーツを変更することで、パワーとトルク、ドライバビリティは向上している。

具体的には、さらに効率化された新型ターボを採用したほか、シリンダー・ヘッドとエグゾースト・マニホールドの設計に対する細やかな見直しや、新型カムシャフト、軽量コネクティング・ロッドの採用、フューエル・ポンプと燃料供給システムの高速化など675LT専用の改良が施されている。

もちろんこれらの改良はかなり大がかりだ。したがって、単なる ‘小改良版’ ではないことを意味するM838TLという専用のコードが与えられている。軽量かつイナーシャが最小限に抑えられたこのパワー・ユニットの最高出力は675LTの名が示すとおり675ps/7100rpmと71.4kg-m/5500-6500rpmを発揮。軽量化と相まってパワー・トゥ・ウエイト・レシオは549ps/トンという驚異的な数値に達している。

0-100km/h加速は2.9秒、0-200km/h加速は7.9秒でこなし、最高速度は330km/hに及ぶというのが、マクラーレンの公表する数値だ。

組み合わされるトランスミッションは、ほかのスーパー・シリーズでも定評のある7速デュアル・クラッチ式シームレス・シフト・ギアボックス(SSG)。ノーマル/スポーツ/トラックの3つのモードに合わせてトランスミッションの変速マナーも変化する。パフォーマンスの向上のためにモードのセッティングには細やかなアップデートが施されており、最適化されたスロットル・レスポンスとシフト・チェンジによって、従来よりも最大2倍の反応速度となっている。

675LTから新たに設定されたイグニッション・カット・テクノロジーは、変速時にシリンダー内のスパークを一時的にカットするもので、F1譲りの技術アプローチである。これによって、シフト・チェンジ時にはバックファイヤー音を発することができ、シフト・ダウンの際にも魅力的な音が聴けるとマクラーレンは主張している。ESCのキャリブレーションも675LT用に一新されており、スロットルとブレーキの入力に対して高いレベルでの制御をドライバーに提供してくれる。

シャシー

マクラーレンが「サーキット用に設計し、オンロード用に開発した」とコメントするとおり、経験、知識、原理、プロセスの多くをF1マシンの開発から流用している。他のモデルよりもアグレッシブな仕様は、サーキット至高のフィーリングであるが、電子制御のプロアクティブ・シャシー・コントロールを組み合わせることから、操縦性と快適性は決してスポイルされていない。

1997年、マクラーレンF1 GTRの開発が始まった時にフロントとリアのトレッドを拡大したのと同じく、スタビリティとハンドリングを最適化するために675LTも前後トレッドを20mmずつ拡大している。また、軽量スプリングは前:27%/後:63%スプリング・レートは引き締められており、ボディ・コントロール性の向上に寄与している。

さらに、改良されたボディワークとアクティブ・エアロ・ダイナミクスによってダウンフォースも40%向上。新たに開発されたサスペンション・ジオメトリーでは、マクラーレンP1における経験を活かした軽量アップライトとウィッシュボーン構造を採用している。これに加えてレスポンスに優れるステアリング・ラックの組み合わせが、マクラーレンの目指す ‘ドライビング・エンゲージメント’ の向上に繋がっている。

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