試乗記

2019.06.16

ポルシェ911カレラS

992型こと新型911は、初代の901型より229mm長い。55年もの時間を隔てた2台の差として、これが大きいのか小さいのかの判断は、ひとそれぞれかもしれない。
スポーツエキゾーストは1844ポンド(約27.7万円)のオプション。通常は4本出しのテールパイプが、太い楕円の2本出しに変更されるが、この992のリアバンパーへの収まりはむしろこちらのほうがいいくらいだ。
ドアハンドルは、ロックを解除すると自動的に跳ね上がる。ドアパネルとツライチに収まっているときはスマートに見えるが、使用時の見てくれはそれほどよくない。
リアスポイラーの角度は、速度や走行モードによって、格納状態も含めて3段階に変化する。90km/hで展開したそれは、150km/hで最大になる。減速時には、90km/hを切ると格納される。
テスト車には、2054ポンド(約30.8万円)のポルシェ・ダイナミックライトシステム・プラスが装着されていた。LEDマトリックスヘッドライトを装備し、コーナリングに合わせた照射調整やハイビームアシストといった機能が加わる。
前席は、すばらしく快適にツーリングできる空間。さらに、比較対象となるだろう1500万円級GTに対抗しうる先進的で高価そうな雰囲気も感じさせるようになった。
緊急用レベルながらも後席を備えるというのは、ポルシェの商売上手さを感じさせる911お決まりの売り文句。とはいえ、座れるのは子どもか、せいぜい体格の小さい大人くらい。それも、前席のレッグルームはだいぶ犠牲にしないと、とても人間の座れる空間にはならない。
フロントのトランクスペースは、以前に計測した初期991型とは違ったかたちとなっていた。前後方向は短くなっているのだが、最大幅は逆に広げられているのだ。
計器類はほぼデジタルとなったが、中央に鎮座する回転計だけは例外的にアナログ。これがあるから、ポルシェは見慣れた雰囲気を感じさせるのだ。
テスター陣からは扱いづらいとの声も上がったちっぽけなシフトセレクターだが、ルックスは悪くない。その周囲のくぼみには、ホコリが溜まるに違いない。
走行モード切り替えは、ステアリングホイール脇に突き出したノブを捻って行う。中央のスイッチは、たとえば低いギアを選んだ場合などに、最大限のパフォーマンスを引き出すためのものだ。
ハイグロス仕上げが、コラムレバーにまで施される。シフトパドルには、それ自体もストロークもより長く取ったほうが操作感がハッキリするのでいい、との感想を述べるテスターもいた。
10.9インチのタッチ式ディスプレイは、車内に入ると最初に目を引きそうな存在感。991型では計器盤上でなければアクセスできなかった機能の多くがここに集約され、多くの機能が扱いやすくなっている。
997型と比べると992型の静粛性は、アイドリング時に劇的に高められているのみならず、巡航時のそれも向上している。しかし、このクルマをGT的なものとみなすなら、タイヤノイズが問題だ。
期待したほど楽しめるものではなかったが、グリップは強力で、バランスに優れ、俊敏かつきわめて落ち着いたテスト車は、ドライバーのインプットとB級道路の地形に応じて、ワインディングを淀みなく駆け抜ける。
「この上ないシャシー」との感想は、全般的には先代同様だが、より有能になった印象。ポルシェがより角の取れたマシンを目指したとは思いがたいが、911の伝統ともいうべきリアエンジンらしさは、これまでより鳴りをひそめた印象だ。
素晴らしくリニアでフレキシブルなフラット6ターボは、マラネロ以外が生み出したパフォーマンスエンジンとしては、現時点でおそらくベストな過給ユニットだ。
先代の991型より、速くリッチで有能になった。活気は衰えているが、今回のカレラSはおおむね上出来で、このクラスの新たな王位を勝ち取るにふさわしい。

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