「RS」譲りのトルクスプリッター獲得 アウディS3が小改良 試作車へ試乗 2.0L 4発ターボで333馬力

公開 : 2024.02.18 19:05

4代目アウディS3がアップデート EA888型は最高出力333ps、最大トルク42.7kg-mへ RS3譲りのトルクスプリッター獲得 英国編集部が試作車へ試乗

最高出力333ps 最大トルク42.7kg-m

アウディは、この4代目S4へ施された改良が、通常のアップデート以上の内容だと主張する。A3全体に、広範囲なアップデートが加えられる。ビビッドなカモフラージュの内側へ与えられた進化ぶりを、ひと足先に味見させていただいた。

そもそも現行のS4は、プレミアムなホットハッチとして、高水準に仕上がっていた。ただし、乗り心地とインテリアが、期待通りとはいえなかったことも事実だ。

アウディS3 スポーツバック(プロトタイプ)
アウディS3 スポーツバック(プロトタイプ)

また格上のRS3が存在し、フォルクスワーゲン・ゴルフ Rもモデルチェンジされ、S3はフォルクスワーゲン・グループの中で若干影が薄かったことも否定はできない。アウディの技術者は、訴求力を高めるべく、しっかり手を加えたようだ。

試乗したS3はプロトタイプで、偽装が施されており、スタイリングやインテリアを正確にお伝えすることはできない。特に車内は、メーター用モニターとシフトセレクター以外、しっかり布で覆われていた。

パワートレインは、従来どおり同グループ内で広く共有される、EA888型と呼ばれる2.0L 4気筒ガソリンターボ。最高出力は25ps増しの333psへ上昇、最大トルクは2.0kg-m増しの42.7kg-mへ引き上げられた。発生回転域は、2100-5500rpmだ。

ターボチャージャーは、低い回転域からブースト圧が生成されるようチューニング。中間加速でのパワー供給を、ダイレクトにしている。

RS3譲りのトルクスプリッター 0-100km/h 4.7秒

トランスミッションは、7速デュアルクラッチ・オートマティック。変速時間は半分へ短縮され、クラッチを高圧力で接続することで、加速時のトルク伝達量が強化された。「D」での軽めの加速でも、エンジンの回転数が高めに制御されるようにもなった。

パワートレインで特に注目すべき変化が、RS3譲りのトルクスプリッター・システムを獲得したこと。リア・ドライブシャフトへ2基のクラッチが装備され、必要に応じて左右それぞれのタイヤへ送られるトルクを、自在に調整可能としている。

アウディS3 スポーツバック(プロトタイプ)
アウディS3 スポーツバック(プロトタイプ)

ドライブモードには、ダイナミックプラスが追加。アイドリング時の回転数が1100rpmから1300rpmへ上昇し、変速が一層クイックになり、アクセルレスポンスが鋭くなる。また可能な限りリアへトルクが割り振られ、後輪駆動へ近い操縦性も味わえるという。

サスペンションでは、フロントのマクファーソンストラットに、新しいピボットベアリングを採用。ネガティブキャンバーを僅かに強め、ウイッシュボーンの剛性を高め、ステアリングの反応を引き締めている。

アダプティブダンパーも改められ、ブレーキはフロントのディスクが357mmに。可変ステアリングレシオにも、微調整が加えられた。19インチホイールには、235/35のファルケン・タイヤが組まれる。

これらによる効果で、0-100km/h加速を0.1秒短縮し、4.7秒でこなす。もっとも、ダッシュ力以上に、全般的な動的能力が引き上げられたと考えていいだろう。

記事に関わった人々

  • 執筆

    ジェームス・アトウッド

    James Attwood

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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