ブースト上昇で406ps アウディRS3 パフォーマンス・エディションへ試乗 走りの変化は限定的

公開 : 2022.12.10 08:25

四輪駆動ホットハッチ、RS3に追加されたパフォーマンス・エディション。300台限定の特別仕様を英国編集部が評価しました。

直5ターボの最高出力は406psへ

RS3の動力性能に不足などあったのだろうか。0-100km/h加速を3.8秒でこなす俊足ぶりだ。それでも今回、アウディホットハッチの能力を一層高めたパフォーマンス・エディションを投入した。

英国での販売は予定されていないが、その理由は通常のRS3が既に2年間のバックオーダーを抱えているためだという。納車を楽しみに待っている間に、さらに高性能な仕様がリリースされたら、確かに気が気ではない。全世界で300台の限定となる。

アウディRS3 パフォーマンス・エディション(欧州仕様)
アウディRS3 パフォーマンス・エディション(欧州仕様)

通常のRS3の発売から1年しか経過していないこともあり、パフォーマンス・エディションのアップデートの幅は大きくない。1番の注目といえば、2.5L直列5気筒ターボエンジンの最高出力が6ps加算され、406psになったことだろう。

最大トルクの発生回転域は、100rpmだけ拡張されている。50.9kg-mのトルク値自体に変更はない。

その結果、最高速度は約10km/hプラスになったが、0-100km/h加速時間は3.8秒のまま。数字的な向上は大きくないものの、メルセデスAMG A 45のようなライバルと競い合う上では、小さくはない違いともいえる。

このパワーアップを叶えたのは、ターボチャージャーのブーストアップ。上昇した最高速度は、標準装備されるカーボンセラミック・ブレーキが受け止める。通常のRS3ではオプション扱いの逸品だ。

通常のRS3との走りの変化は限定的

ヘッドライトのLEDには、限定モデルとしてちょっとしたギミックが仕込まれている。ドアロックを解除すると、チェッカーフラッグ状のパターンと3、0、0が順に表示される。ドアロックをすると、R、S、3と点灯する。

走行中も、デイタイムライトはチェッカーフラッグ状に光る。シフトパドルでもRS3だと主張している。筆者には、ちょっと盛り込み過ぎにも思えるが。

アウディRS3 パフォーマンス・エディション(欧州仕様)
アウディRS3 パフォーマンス・エディション(欧州仕様)

パフォーマンス・エディションの場合、レザーとダイナミカ合皮で仕立てられたバケットシートは標準装備。ステアリングホイールの12時の位置へブルーのマーカーが入り、各所に差し色としてブルーのステッチが施される。

シートベルトもブルーで、ダッシュボードの助手席側にはカーボンファイバーの装飾トリム上に、シリアルナンバー・プレートがあしらわれる。限定モデルであることを、ドライブへ誘った友人にも知ってもらえる。

ホットハッチとして肝心なのは走りだが、その変化も大きいものではない。もちろん、RS3は路面コンディションを問わず充分すぎるほどの速さを披露する。間違いなくパワフルといえるが、僅かに鈍さを感じることは従来どおり。

ボンネットを開くと、その理由が見える。直列5気筒エンジンは、フロントアクスルより前側に載っている。RSトルク・スプリッターと呼ばれるトルクベクタリング・システムをリアアクスル側に装備していても、常にノーズヘビーな印象が伴う。

記事に関わった人々

  • 執筆

    ピアス・ワード

    Piers Ward

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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