「RS」譲りのトルクスプリッター獲得 アウディS3が小改良 試作車へ試乗 2.0L 4発ターボで333馬力

公開 : 2024.02.18 19:05

揺るぎない落ち着きとトラクション

今回、筆者がアップデート後のS3 プロトタイプを走らせたのは、中東オマーンのサラーラという街。路面には凹凸が目立ち、砂が浮いているような状態だったが、従来にはないしなやかな乗り心地が印象的だった。

現代のホットハッチと同様に、一定の硬さはある。しかし、速度抑止用のスピードバンプが迫っても、身構える必要はなかった。

アウディS3 スポーツバック(プロトタイプ)
アウディS3 スポーツバック(プロトタイプ)

都市部を抜け、北に広がるワインディングへ。アウディの技術者は、このドファール山脈をオマーンのアルプスと呼ぶ。

連続するヘアピンへ突っ込むと、トルクスプリッター・システムの効果が顕に。ダイナミックプラス・モードを選択し、積極的にステアリングホイールを操れば、揺るぎない落ち着きとトラクションに唸らされる。

コーナー外側のタイヤへ多くのトルクが伝わり、路肩の溝へ内側のタイヤを引っ掛けたように、鋭敏に旋回していく。気分はまさに、ラリードライバーだ。

ストレートが見えたら、アクセルペダルの加減でラインを調整し、一気呵成に脱出。スタビリティ・コントロールが介入する以前に、リアをスライドさせながら姿勢を整えることも難しくない。湧き上がる自信で、次のコーナーが待ち遠しくなる。

ステアリングの反応は、1段階穏やかなダイナミック・モードでも不満なし。非常に楽しい体験だといえる。同時に、常に高度な技術が緻密に制御しているという印象も伴うのが、アウディらしい。

本来の真価を発揮させることに成功?

実際の環境での乗り心地や、インテリアの印象は、量産版が完成してから評価しなければならない。それでも、しっかり磨き込まれている可能性は高い。

これまで、やや光の当たりにくい存在といえた、4代目のS3。高い期待には応えられていなかったかもしれないが、基本が優れていたことは明らかだった。丁寧なアップデートにより、アウディは本来の真価を発揮させることに成功したのかもしれない。

アウディS3 スポーツバック(プロトタイプ)
アウディS3 スポーツバック(プロトタイプ)

アウディS3 スポーツバック(プロトタイプ)のスペック

英国価格:4万5000ポンド(約837万円/予想)
全長:−mm
全幅:−mm
全高:−mm
最高速度:249km/h
0-100km/h加速:4.7秒
燃費:−km/L
CO2排出量:−g/km
車両重量:1500kg(予想)
パワートレイン:水平対向4気筒1984cc ターボチャージャー
使用燃料:ガソリン
最高出力:333ps
最大トルク:42.7kg-m/2100-5500rpm
ギアボックス:7速デュアルクラッチ・オートマティック(四輪駆動)

記事に関わった人々

  • 執筆

    ジェームス・アトウッド

    James Attwood

    役職:雑誌副編集長
    英国で毎週発行される印刷版の副編集長。自動車業界およびモータースポーツのジャーナリストとして20年以上の経験を持つ。2024年9月より現職に就き、業界の大物たちへのインタビューを定期的に行う一方、AUTOCARの特集記事や新セクションの指揮を執っている。特にモータースポーツに造詣が深く、クラブラリーからトップレベルの国際イベントまで、ありとあらゆるレースをカバーする。これまで運転した中で最高のクルマは、人生初の愛車でもあるプジョー206 1.4 GL。最近ではポルシェ・タイカンが印象に残った。
  • 翻訳

    中嶋けんじ

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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