小さなスズキは「軽・好・楽!」 新型スイフトへ英国試乗 操縦性と快適性はクラス上位

公開 : 2024.04.03 19:05

5代目へ一新したスズキ・スイフト アーキテクチャは4代目の進化版 強化された防音処理 適度に活発な1.2L 3気筒 変速が楽しい5速MT 英国編集部が評価

ハーテクト・アーキテクチャは4代目の進化版

新型スズキスイフトの発表会で、興味深い予想が示された。英国では、過去3年間に25万人がスイフト・クラスの小型車を購入したが、他メーカーのモデルは減少傾向にあり、同等のクルマへの乗り換えが難しくなるという内容だ。

確かに、フォードフィエスタ日産マイクラマーチ)も生産を終えた。このカテゴリーでは、28%も選択肢が狭まっている。それでも新しいスイフトは、グレートブリテン島にもやってきた。

スズキ・スイフト 1.2ウルトラ(欧州仕様)
スズキ・スイフト 1.2ウルトラ(欧州仕様)

5代目へ生まれ変わっても、スイフトは従来どおり。小型・軽量で価格はお手頃。装備は充実し、燃費は良好。英国では、2グレード展開が予定されており、MTとCVTが選べる。標準は前輪駆動だが、四輪駆動も用意される。

「スイフトが属する、Bセグメントは重要な市場です。弊社のユーザーは、コンパクトカーを求めています」。スズキUKのディレクター、デール・ワイアット氏は説明する。それでは、詳しく見ていこう。

まったく新しいとスズキは主張するものの、5代目が基礎骨格とするハーテクト・アーキテクチャは、基本的に4代目の進化版。マイルド・ハイブリッドを採用した、自然吸気の1.2L 3気筒ガソリンエンジンが横向きで積まれる。

サスペンションは、フロントがマクファーソンストラット式で、リアがトーションビーム式。ブレーキはベンチレーテッド・ディスクにドラムと、従来的な内容にある。

ボディサイズは、全長3860mm、全幅1735mm、全高1495mmと、4代目と大きくは違わない。筆者としてうれしい数字が、前輪駆動の車重が1.0tを切ることだ。

強化された防音処理 余裕のある車内空間

5代目の特徴となるのが、強化された防音処理。サスペンション周辺からの振動やノイズを抑えるため、アンダーボディに接着剤を利用し、Aピラー部分には防音プレートを追加。フロアとダッシュボードには、厚めの制振シートを採用したという。

また、カーペットも重いものが敷かれた。エンジンマウントには、フルードが充填されている。それでも、ベースグレードの車重は949kgに抑えられた。

スズキ・スイフト 1.2ウルトラ(欧州仕様)
スズキ・スイフト 1.2ウルトラ(欧州仕様)

インテリアには、そのぶんの軽量化がうかがえる。造形自体は魅力的ながら、素材は傷の付きやすそうな硬いプラスティックが目立つ。

とはいえ、ドアにはソフトパッドが貼られ、エアコンのスイッチはブラシ仕上げで、触れる部分への配慮も忘れてはいない。人間工学的にも良好で、ライト類はステアリングコラムの左側、ワイパーなどは右側と、明確に割り振られている。

エアコンには、従来的なスイッチが残る。タッチモニターは用意されているが、車線維持支援システムは、ダッシュボード上のボタンで簡単にオフにできる。

制限速度支援機能は、ステアリングホイール上のスイッチや、トリップコンピュータのレバーでオフにできる。ただし、これは停車時しか切り替えられない。

車内は広々としており、前席側は頭上空間にも余裕がある。フロントガラスは前方に遠い。後席側も、前後・上下にゆとりを感じる。大人4名が長時間過ごせる空間は備わる。定員は5名だ。

荷室容量は265L。床面は開口部より下にあり、その下側にはスペアタイヤを積める空間がある。

記事に関わった人々

  • 執筆

    マット・プライヤー

    Matt Prior

    英国編集部エディター・アト・ラージ
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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