みたことある「あのアート」 どのように作られる? 芸術家を訪問

公開 : 2017.09.09 17:10

みたことある! というかたも多いのではないでしょうか。芸術家ベネディクト・ラドクリフのワイヤーフレームでできたクルマの彫刻は、アートコレクターやクルマ好きをとりこにします。彼のスタジオを訪れインタビューをおこないました。

もくじ

どこかでみたことのある「あのアート」
彼の製作スタイルが確立されるまで
すべてが手作業 多くの痛みもともなう
並行して進むプロトタイプ 最長で9カ月
彫刻の強欲:そのほかの自動車アートワーク

どこかでみたことのある「あのアート」

ロンドンの東の端にある、これといった特徴のない、落書きがされた低層住宅で、それは誕生する。

表札のない二重のドアのむこう側で、ベネディクト・ラドクリフは、何の変哲もない柔らかい鉄線から、中に浮いているような、立体的なクルマを造りだす。

切断、曲げ、溶接、塗装を経て創造される、蛍光色の彫刻は、ひとびとの関心を鷲掴みにし、時に思考を困惑させる。

多くのひとは、ラドクリフの作品を写真でみているはずである。ブライトオレンジのランボルギーニカウンタック、ブリリアントホワイトのスバルインプレッサP1、ネオンピンクのレンジ・ローバー・イヴォーク…。

これらはみな、フォトショップで描かれ、背景と合成されたかのようにみえるが、本当に実在する「物体」なのである。

ヒースロー空港のターミナル2に降り立つと、彼の作品であるロンドンタクシーをみつけることができる。空港から依頼を受けて造られた、近代イギリスの象徴である、オレンジのオースチンFX4である。

空間に存在する、極限まで簡略化された、実寸大のワイヤー・フレームで作られた、すべての作品は、瞬時にそのクルマとわかるものばかりだ。

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