みたことある「あのアート」 どのように作られる? 芸術家を訪問

公開 : 2017.09.09 17:10

すべてが手作業 多くの痛みもともなう

デルタ・インテグラーレは未塗装で、ホイールも未装着であるため、治具で支えられている状態であるが、その姿にも、個々のディテールにも、既に圧倒される状態にある。鼻先にあるシールド形状のバッジも、長細い鉄線で完全に再現されているのである。

彼は作業工程の全容を説明してくれた。ネット上の図面や写真から、前面、後面、側面からの実寸を求められる縮尺へと、手作業で縮めていく。設計図をつくるためである。

一束のインテグラーレのスケッチは、この創造的なプロセスを物語る。コンピュータも3Dプリンターも使うわけではない、手作業である。

「わたしがしている事は、とてもローテクなのです」彼は言う。

「最初に設計図を造り、それをもとに制作に取り掛かります。手始めにフロントバンパーを仕上げ、リアバンパー、ヘッドライト、そのほかの部品を順々に造っていきます。極めてストレートな精神的労働です、切断し、溶接し、研磨する。しかし、とても重要な事は、これらの鉄線を使って造っているのは、実寸大であるということです」

ラドクリフは、補助的にワイヤーグリッドを使って、モデルとなるクルマのプロポーションを崩さないように心掛けるが、しかし、この作業は苦行であることには変わりはない。

溶接の際に発生する熱によっても形状は破壊されてしまうため、継続的に調整をしていかなければならないのだ。

「みた目がすべてなのです。何度もみた目を確認して、次の日に改めてみた目を確認します。上手くいくかどうかは、わかりません。エンジニアなら違ったアプローチをするかもしれませんが、わたしにはこれしか方法がないのです。それは同時に多くの痛みもともないます」

製作過程や期間はどれくらいのものなのだろう?

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