RMサザビーズ・パリ・オークションに、アルピナやAMGを始めとした’80～90年代「ヤングタイマー」が集まり、落札が連発。さらにフェラーリ／ポルシェは、億超えの結果に。

text: Kazuhide Ueno（上野和秀）　photo: RM Sotheby’s Auctions／Stephan Bauer、Mathieu Bonnevie、Simone Caldirola、Kevin Van Campenhout、Remi Dargegen、Jason Dodd、Neil Fraser、Tom Gidden、Dirk de Jager、Philipp Lohmann、Scott Pattenden、Ahmed Qadri、Jesus Robledo、Sami Sasso、Tim Scott、Peter Singhof、Cymon Taylor、Adam Warner、Tom Wood

ヤングタイマー企画　大成功

RMサザビーズはパリのセーヌ川南岸の政府機関が集まる7区にあるパレス・ヴォバンでパリ・オークションを開いた。他のオークションハウスが戦前車を意図的に出品していたが、RMサザビーズはいつものように第2次大戦後から現在のスーパースポーツまでの極め付けといえるモデルを85台取り揃えてビッダーを迎えた。

ちなみに戦前車も用意されていたがその数はわずか3台だったことからも、このオークションの方向性が見える。もちろんフランスでのオークションだけに、歴史を象徴する新旧のモデルが用意されたのは言うまでもない。

今回は、最近注目されつつある「ヤングタイマー・コレクション」と称して’80～90年代を中心としたレンジが設けられた。出品された主なモデルを記すと、

1989年メルセデス・ベンツ560SEC AMG 6.0ワイドボディ（3719万円）
1982年BMWアルピナB7 Sターボ（1725万円）
1987年BMW M6（719万円）
1988年フェラーリ412（827万円）
1992年ポルシェ928 GTS（1725万円）
1994年メルセデス・ベンツE500（719万円）
2002年ロータス・エスプリV8 25thアニヴァーサリー（755万円）

とバラエティに富んだもの。

多くの落札額が邦貨で1000万円以下ということもあり、出品された22台中21台が落札されるという好調ぶりで、新たなマーケットが存在することを証明した企画だった。

最高値はF40LM

コレクターズカー・オークションのリーダーといえるRMサザビーズだけに、パリには数多くの極みといえるクルマを用意した。フェラーリでは F40LMを筆頭に、275GTB/6Cアロイ、250GTカブリオレ・ピニンファリーナ・シリーズII、F50、フェラーリ・エンツォ、ワンオフモデルのSP30から量産モデルまでの17台が並んだ。

最近の主役といえるポルシェは550RSスパイダーから356カレラ2、超初期型の901といえる911、73カレラ、カレラGT、918スパイダーといった人気モデルを9台取り揃えた。このほかにもBMW507ロードスター・シリーズII、ブガッティEB110／ヴェイロン、OSCA MT4-2AD 1350モレッティ、シェルビー427コブラなど、RMサザビーズを象徴する豪華なラインナップとなった。

パリ・オークションで最高落札額を記録したのは、フランスのパイロット・アルディックス・チームがBPRシリーズ戦を戦ったフェラーリF40LMの6億532万円。F40LMであることに加え、レーシング・ヒストリーが評価されたもので、当時BPRシリーズ戦に参加したF40LM／GTは4台だけで、その内の1台という希少性も評価されたようだ。

トップ10を見ると全て億超え（「すべての画像をみる」参照）で、2番手にはポルシェ・コレクションに欠かせないポルシェ 550RSスパイダーが入り、10台中5台がフェラーリで、ブガッティとポルシェが2台ずつというRMサザビーズらしい結果といえる。

一方でリザルトを見てゆくと価格は全体的に落ち着きを取り戻してきたが、価値あるクルマは高く、数が多いなどそれなりの評価のクルマは順当な額に戻りつつあることが分かろう。このような価格は自然に決まってゆくことが多いので、手に入れようと考えているならば変動を長い目で見る必要がある。

RMサザビーズ・パリ・オークション　結果一覧

価格は落札手数を含む額。日本円への換算は、オークション開催当日の為替レートを基に計算。
NS=落札不成立。日本円価格の括弧内の金額は、主催者が発表した予想落札価格。