VWグループ会長 ヘルベルト・ディース 1年越しの独占インタビュー 電動化の立役者

公開 : 2019.06.16 11:50

MEBプラットフォーム SUV人気は続かない?

ディースがグループの舵取りを行っているのは、ヴォルフスブルクにある世界最大の自動車工場のひとつに面した、巨大なビルの最上階にある快適だが質素とも言える彼のオフィスだ。

ほっそりとした体つきをした60歳のディースには、まったく自己中心的なところなどなく、もし彼に余暇を楽しむ時間があったなら、ゴルファーかテニスプレイヤーだと思っただろう。つねに微笑みを絶やさず、完ぺきな英語を話し、堅苦しい雰囲気など感じさせない。

彼の決断力については、多くを聞かされていたため、ディーゼルゲート発覚直後、フォルクスワーゲングループに移籍したばかりのころ開催され、ディースの名を一躍有名にした会議について質問してみた。この会議で、ディースはいまや電動化で世界をリードするフォルクスワーゲンのEV専用MEBプラットフォームを提案し、議論の末に計画は承認されている。

「フォルクスワーゲンへと移籍した直後で、ディーゼルゲート発覚からは2週間ほど経った頃でした」と彼は話す。「チームメンバーを集めて2日間のワークショップを行いました。その結果がMEBというアイデアです」

「われわれは特殊な状況下にありました。中国で強いブランドを築いていましたが、この国ではEVに非常に力を入れています。ですから、主要な自動車メーカーとしては初となる、EV専用プラットフォームを創り出し、すべてのフォルクスワーゲングループのブランドで共有することが出来ると考えたのです。多くのメーカーではEVにも既存のプラットフォームを用いていますが、それは開発コストが抑えられるからです。ライバルに先行するチャンスでした」


非常に有望な計画にもかかわらず、まだ実際の販売が始まっていないということで、ディースはこのMEBプラットフォームを採用したモデルの見通しについては何も語ろうとしない。

「うまくいくことを願っています」と彼は言う。「いま販売している電動モデルはMQBプラットフォームをベースにしていますが、来年になれば、われわれにアドバンテージがあると考えています」

将来の成功は、ディースが「チョコレートバー」と呼び、一般的には「スケートボード」として知られている、フラットなフロアとロングホイールベースを組み合わせ、前後アクスル間にバッテリー用の広大なスペースを確保したデザインがもたらすことになるだろう。

最低地上高が100mmから150mm程度上がることになると彼は言うが、ポルシェアウディのエンジニアたちは、すでにこの高さを削減するための作業を進めているという。

現在の車高の高いモデルに対する人気にもかかわらず、ディースは、こうした伝統的な背の高いSUVへの需要がこのまま続くことはないだろうと話している。航続距離を確保するには、空気抵抗を削減することが重要であり、これがテスラモデルXが、他のモデルほど売れていない原因だと、ディースは考えている。

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