森に放置されていたジャガーEタイプ 30年ぶりに蘇る

公開 : 2019.09.02 20:50

森の中で30年も放置されていた1964年製ジャガーEタイプが発見され、専門ショップのチームによって見事に修復されました。発見された時とレストア後の写真をぜひ見比べてみてください。

草木に覆われた状態で発見

クラシックカーに関する話で「バーン・ファインド(barn-find)」という言葉を聞いたことがあるだろうか? 納屋(barn)で見つかった(find)という意味で、主にオーナーが死去した後、納屋や倉庫などに置かれたまま、その存在が忘れられていたクラシックカーが、数十年ぶりに発見されたことを言う。

今回ご紹介するジャガーEタイプ・シリーズ1は、納屋ではなく英国グロスタシャーの森の中で見つかった。幸いなことに、それからボルト1本に至るまで徹底的なレストアが施され、現在は発見された状態とは見違えるほどの美しい姿を取り戻している。

雑草が生い茂るインテリア
雑草が生い茂るインテリア

この1964年製Eタイプは、右ハンドルのシリーズ1 4.2 fhc(フィクスドヘッドクーペ)としては10番目に工場の生産ラインを出た個体だった。

しかし、写真を見ればわかるように、森の中に長年放置され、室内やエンジン・ルームの中まで草木が生い茂り、ボディには枯れ葉が積もっていた。英国ケント州にあるスペシャル・ショップ、EタイプUKのチームは、「グロスタシャーで忘れられたEタイプ」のレストアに挑むことになった。

公道を速く走るための改良も

このEタイプは約30年の間、まったく手つかずのまま、風雨にさらされている状態だった。そのため、すべての部品を一度分解し、修復あるいは再生してから組み立て直す必要があった。

実際、チームはオリジナルのランニング・ギア、リア・サスペンション、そして車両登録書を除くすべての部品を調達するか、ハンドメイドで再製造しなければならなかった。ボディワークはすべて救出不可能な状態だった。

ペイント後に60時間かけて研磨
ペイント後に60時間かけて研磨

数少ない救出されたオリジナルのパーツであるカムカバーとシリンダーヘッドは、入念に機械研磨された。オパールセント・シルバー・グレイのペイントは、60時間を費やして磨かれ、完璧に仕上げられた。

新たなオーナーの要望によって、ステンレス製のスポーツ・エグゾーストなど、いくつか控えめなアップグレードも施された。近々路上に復活するにあたり、このEタイプに加えられた改良はサウンドの向上だけではない。

さらにハイリフト・カムシャフトや、バランス取りされた軽量クランクシャフト、5速ギアボックスなど、チームによれば「公道を速く走るためのアップグレード」が施されているという。

30年ぶりに英国の路上へ

「この歴史的スポーツカーの修復には、確かに独自の困難がありました。当社のチームは可能な限り最善を尽くし、求められる質の高い仕事を成し遂げたと自負しています」と、EタイプUKの創設者であるマーカス・ホランドは語る。

「わたしたちはこれまで、数多くの “林で発見された” クルマをレストアしてきました。しかし、このクルマは当社が手掛けたEタイプの中で最も意義深い1台でしょう。その素晴らしい歴史を知り、ジャガーのクラシックカーを当時の輝かしい姿に戻すことができるのは、わたしたちにとって常に大いなる喜びです」

美しさを取り戻したEタイプ
美しさを取り戻したEタイプ

「いま、このEタイプは驚異的な運命のもと、英国の路上に舞い戻り、30年ぶりに走る楽しみを待っているところです」

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