【優雅さを増した3代目】R107型メルセデス・ベンツSL 300と350、500を乗り比べ 前編

公開 : 2021.07.18 07:05

シルクのように滑らかなV8エンジン

同時期のロータリーエンジンを載せたプロトタイプ、メルセデス・ベンツC111のように、急進的な内容は選ばれなかった。3499ccのM117ユニットは、2年早く登場したW108型の280 SE 3.5にも搭載されていたものだ。

シルクのように滑らかに回転し、その頃のアメリカン・ユニットより上質なV8エンジンだった。ボッシュ社製の電子燃料インジェクションを採用し、クランク速度や吸気圧などを計測することで最適な燃焼が得られるように制御された。

メルセデス・ベンツ350 SL(R107型/1971〜1980年/英国仕様)
メルセデス・ベンツ350 SL(R107型/1971〜1980年/英国仕様)

トランスミッションは、4速MTが標準設定だったが、オプションのATがデフォルトの選択肢。2代目に通じるスリムな形状を持つハードトップも、当然のように追加された。

ハードトップの価格は、215ポンド。ソフトトップだけのカブリオレとして納車されることの方が珍しかった。メキシカンハットと呼ばれたアルミホイールと熱線入りリアガラスは、当時のメルセデス・ベンツらしくオプション設定だ。

伸びやかなボディは、古くからダイムラー・ベンツのボディに関わってきた、リタイヤ間際のカール・ウィルフェルトのデザイン。当時のモデルに共通していた縦長のヘッドライトは与えられず、テールライトには汚れを防ぐリブが付けられている。

スチール製ボディの前後には、衝突時の衝撃を吸収するクラッシャブルゾーンが与えらた。モデル後期の1980年代からはワックスの注入やホイールアーチ・ライナーが導入されている。それでも残念なことに、防錆性は充分とはいえなかった。

先進的なサスペンションやブレーキ

フロント側は、アンチダイブ構造のダブルウイッシュボーン・サスペンションと、後ろ寄りに搭載されたステアリングラックを採用し、安全性を一層高めてある。

リア側のサスペンションは、新世代のセミトレーリングアーム式。W113型のパゴダルーフに用いられていた、スイングアスクルに対する特定条件下での不満を一掃させた。

メルセデス・ベンツ350 SL(R107型/1971〜1980年/英国仕様)
メルセデス・ベンツ350 SL(R107型/1971〜1980年/英国仕様)

ブレーキは前後ともにディスク。既に上級な欧州車としては一般化していた装備だった。加えて350 SLには当初から、オプションでATEと呼ばれるアンチロック・ブレーキシステムが用意されていた。1980年代後半には、現代的なABSが採用されている。

350 SLは全幅に対してホイールベースが短い。205/70サイズのタイヤ4本の位置関係は、先代に似たものだった。空力的には完璧とは呼べなかったが、ヘッドライトやフロントガラスを汚れにくくする空気の流れを作ることが優先されたためだ。

フロントガラス両脇のピラーはパゴダルーフの280 SLより寝かされ、50%強化されていた。両側のピラー根元から伸びていたワイパーの位置が一般的なレイアウトになり、シートベルトは背もたれに内蔵されている。

燃料タンクは大きく重かったものの、リアアスクル上にレイアウトされ、前後の重量配分は50:50と良好。ボディサイドの細かなリブも、見た目の特徴といえるだろう。

この続きは後編にて。

関連テーマ

人気テーマ

おすすめ記事

 

人気記事

        ×