あなたのクルマ、乗り続けられる? 話題の液体燃料「eフューエル」とは

公開 : 2021.07.14 05:45  更新 : 2021.10.09 23:39

電動化が進む昨今。カーボンフリー時代でも今の愛車に乗り続けられるとしたら? 液体燃料eフューエルに注目します。

電動化=エンジン車排斥の時代に

text:Kenichi Suzuki(鈴木ケンイチ)
editor:Taro Ueno(上野太朗)

世の中は脱炭素時代に走り出している。

日本政府は、2050年のカーボンニュートラル(CO2排出量の収支が実質ゼロ)達成を宣言しており、2035年には国内販売される新車はすべて電動化されるという。

日産リーフ
日産リーフ    シャッターストック

つまり、14年後に販売されているクルマは、ハイブリッド、もしくはEV、そして水素で走るFCVしかなくなる公算が強くなった。

そんな2035年が到来すれば、政策として古いエンジン車を排斥しようという動きが出てくるだろう。

今でさえ、車歴が13年を超えると自動車税が増額される。これも古いクルマを手放し、新車への買い替えを進めるのが狙いだ。

カーボンニュートラルの世を実現するには、CO2を排出するエンジン車は障害になるため、政策としてクルマの所持や燃料にかかる税金が高くなる可能性は高い。

もしも、今、あなたの愛車がハイブリッドではなく、そのクルマを乗り続けた場合、14年後の2035年には辛い立場に陥るのは間違いないはずだ。

「日本がカーボンニュートラルを目指す」というのは、お国や大きな会社だけの問題ではなく、日本に住むすべての人々の生活も、これまでとは違うことが求められることなのだ。

「カーボンニュートラル燃料」という別シナリオ

しかし、エンジン車が存続する未来へのシナリオも存在する。

それが「カーボンニュートラル燃料」だ。

CO2とH2から製造される「合成燃料」
CO2とH2から製造される「合成燃料」    経済産業省資源エネルギー庁

文字どおり、カーボンニュートラルな燃料の活用だ。それがバイオマス(生物体)を利用してできた「バイオ燃料」であり、もう1つが電気分解された水素を使う「e-Fuel(eフューエル)」だ。

バイオ燃料は、トウモロコシや藻類などの植物由来のアルコール燃料やディーゼルエンジン用の燃料の開発が古くからおこなわれてきた。

マツダは、昨年8月に「次世代バイオディーゼル燃料のバリューチェーンを構築」の取り組みを発表している。

そして、もう1つの「eフューエル」

再エネによる電気分解でできた水素と空気中の二酸化炭素を原料にするため、カーボンフリーの燃料となる。

再生エネルギーで水を電気分解して水素を作ることを指して、Electricのeが使われている。また、「合成燃料」と呼ばれることもある。

また、メタンガスなどの気体だけでなく、メタノールやガソリンや軽油のような炭化水素液体燃料にすることもできる。

そして、燃焼する液体燃料ということは、エンジンの燃料にも使えることを意味する。既存のエンジン車も改良することで継続使用できる可能性があるのだ。

ガソリンスタンドのような、既存の液体燃料のインフラ利用も期待ができるのもメリットとなる。

記事に関わった人々

  • 鈴木ケンイチ

    Kenichi Suzuki

    1966年生まれ。中学時代は自転車、学生時代はオートバイにのめり込み、アルバイトはバイク便。一般誌/音楽誌でライターになった後も、やはり乗り物好きの本性は変わらず、気づけば自動車関連の仕事が中心に。30代はサーキット走行にのめり込み、ワンメイクレースにも参戦。愛車はマツダ・ロードスター。今の趣味はロードバイクと楽器演奏(ベース)。

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