【まもなく登場!】新型フォルクスワーゲンID.2 「手頃な価格」の鍵を握る新技術

公開 : 2021.08.31 20:05  更新 : 2021.09.11 00:29

フォルクスワーゲンがまもなく公開予定の新型EV「ID.2」では、プラットフォームが鍵を握っています。

ID.2発売は2025年を予定

フォルクスワーゲンは、新型クロスオーバー「ID.2」を近日中に初公開する予定だ。2025年に発売される見込みで、低価格のEV市場に攻勢をかけることになる。

ID.2は、「手頃な価格」の小型EVを実現するために開発されているMEBエントリー・プラットフォームを初めて使用する。このプラットフォームは、兄弟ブランドのセアトスコダ、そしておそらくアウディの一部モデルにも採用される予定だ。

フォルクスワーゲンID.2のレンダリング
フォルクスワーゲンID.2のレンダリング    AUTOCAR

フォルクスワーゲン・グループは当初、MEBエントリーを初めて採用したモデルを2023年に発売する計画だったが、目標価格の2万ユーロ(約260万円)で利益を出すという課題のため、2年延期された。この延期により、EVに対する需要の増加と、バッテリー技術の向上が期待されている。

ID.2は、内燃エンジンを搭載したTクロスとほぼ同じサイズのコンパクト・クロスオーバーだが、フラットフロアを採用することで大型のTロックに近い室内空間を確保している。

また、フォルクスワーゲンはポロに近いサイズの小型ハッチバック「ID.1」も検討しているが、まずはクロスオーバーに注力していく。

だが、2025年になっても、小型のEVハッチバックを同サイズのICEモデルと同じ価格帯で販売することは技術的に難しいのではないかという懸念が残っている。

バッテリーとコネクテッド

ID.2は、フォルクスワーゲンが展開しているIDシリーズの中で重要な役割を果たすことになる。同社はすでにID.3ID.4、ID.4 GTXを発売しており、中国専用の大型SUVであるID.6や、クーペSUVのID.5も順次展開する。バンタイプのID.Buzzは、来年に登場する予定だ。

また、自動運転機能を搭載した高級セダン「プロジェクト・トリニティ」など、次世代EVも開発中だ。

プロジェクト・トリニティ
プロジェクト・トリニティ

フォルクスワーゲン・グループは、ソフトウェア技術の改良に多大な投資を行っており、最近ではID.3とID.4に無線アップデートの提供を開始した。このコネクテッド技術により車載機能をダウンロード・オプションとして販売することもできる。オプションを限定して販売することで車両価格を抑え、購入者が後からクルマをアップグレードできるようにする。

コネクテッドはライドシェアリング向けのモデルにも使用される可能性が高く、ユーザーがスマートフォンを使ってクルマを借りられるようにするために不可欠な技術だ。

フォルクスワーゲン・グループは、スケールメリットを活かして生産コストを削減するために、将来のEVモデルのほとんどに統一されたバッテリーセル・デザインを導入しようとしている。セルは統一される一方で、全体的には異なるバッテリー素材を使用することができる。

フォルクスワーゲンの試算では、MEBエントリーモデルには現在のバッテリーセルに比べて約50%のコストで製造できるというリン酸鉄リチウム技術が採用される。リン酸鉄技術には航続距離や充電時間の制限があるが、エントリークラスの都市型EVの走行距離が一般的に少ないため、それほど問題はないと考えているようだ。

MEBエントリーは、30kWhから45kWhまでさまざまなサイズのバッテリーを使用できるようになると考えられる。航続距離は190km~290km程度になるだろう。目標価格の2万ユーロというのは、最も小さいバッテリーを搭載したベースグレードの価格で、上位グレードでは2万5000ユーロ(約320万円)程度になると予想される。

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