運転の「本質」を味わえるスポーツセダン 10選 一流のドライバーズカーとは何か

公開 : 2023.03.19 18:05

スポーツカーのような走行性能と、ファミリーカーとしても使える実用性を両立したスポーツセダン。見る人に「乗りたい」と思わせるような一流のドライバーズカーを英国編集部が厳選しました。

幸福な妥協点 親しみやすいスポーツセダン

最新のクルマをテストする仕事をしていると、本当に素晴らしいスーパーカーやスポーツカーホットハッチを、ただ単に良いだけのクルマと区別するために、多くの努力と頭脳と言葉を費やすことになる。

しばしば魅力的な作業ではあるが、ある普遍的な真実を覚えておくことが重要である。最高のドライバーズカーとは、逆立ちしても手の届かない高嶺の花では決してないということだ。このクルマを所有したい、乗りたいと思わせ、人の心を満たし、満足感や安心感を与えてくれるようなものが多いのである。

ドライバーと乗員を満足させる10台を紹介する。
ドライバーと乗員を満足させる10台を紹介する。

今回選んだ10台のクルマは、このような幸福な妥協点を目指しているのだ。スポーツセダンは古くからあるコンセプトでありながら、最近あまり語られることがない。なぜなら、もっと上位の「スーパー」セダンは、見出しを飾るのも、ラップタイムを記録するのも簡単だからだ。

一般的に、スポーツセダンはスーパーセダンと呼ばれるものよりもパワーが劣るが、より手頃な価格で、より実用的で、よりコンパクトで、物腰が柔らかく、公道で楽しみやすい。また、四輪駆動のものが多く、一年を通してほとんど場所を選ばずに運転するのに適している。もっと控えめで、ステルス的とも言えるモデルもある。いずれにせよ、その魅力と楽しさの度合いから、まさに一流のドライバーズカーと呼べるだろう。

1. BMW M340i xドライブ

BMW 3シリーズといえば、ターマックを駆け抜け、タイヤの白煙を披露するM3が有名だが、最近フェイスリフトされたM340i xドライブは、間違いなく多くの人にとってより魅力的な存在と言える。最高出力374psの直6ターボエンジン、機敏な全輪駆動のハンドリング、充実した装備と堅実な造りが自慢のインテリア、そしてBMWブランドの魅力が相まって、スポーツセダンとしての完成度は高い。3シリーズが長らくそうであったように、このクラスではデフォルトの選択肢となるに値する。

アダプティブダンピング機能付きMスポーツ・サスペンションを標準装備し、サスペンション・ジオメトリーとアクスル・キネマティクスを特別にチューニングしたM340i xドライブは、標準の3シリーズが持つ高いダイナミクス基準を超えている。乗り心地は標準よりソリッドで余裕が少ないため、厳しい路面では攻撃的な硬さを感じるものの、文明的に妥協できる範囲であり、日常生活には十分適していると、試乗した英国記者は書いている。

1. BMW M340i xドライブ
1. BMW M340i xドライブ

リアバイアスのかかった四輪駆動をさらに有効活用するために、トルクベクタリング・ロック式リアデフを標準装備している。これにより、選択した走行モードに応じて、スロットルで調整可能なコーナリング姿勢を付加している。このクルマは、必要なときには速く、滑らかで、甘美な回転を見せるが、悪天候でも確実な足取りを感じられるし、好みに応じて軽快で活発な動きをしてくれる。価格は6万ポンド(約975万円)近くまで上昇したが、すべてを兼ね備えていることを考えれば、飲み込むに値する薬と言えるだろう。

記事に関わった人々

  • 執筆

    AUTOCAR UK

    Autocar UK

    世界最古の自動車雑誌「Autocar」(1895年創刊)の英国版。
  • 翻訳

    林汰久也

    Takuya Hayashi

    1992年生まれ。幼少期から乗り物好き。不動産営業や記事制作代行といった職を経て、フリーランスとして記事を書くことに。2台のバイクとちょっとした模型、おもちゃ、ぬいぐるみに囲まれて生活している。出掛けるときに本は手放せず、毎日ゲームをしないと寝付きが悪い。イチゴ、トマト、イクラなど赤色の食べ物が大好物。仕事では「誰も傷つけない」「同年代のクルマ好きを増やす」をモットーにしている。

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