ポルシェ718ボクスター GTS(2) 長期テスト 他モデルよりロングなギア比

公開 : 2021.11.20 09:45

718ボクスターの高性能版、GTS。Jr.スーパーカー級のロードスターを日常使いすることで、本性と魅力に迫ります。

積算1万6165km まだフレッシュなインテリア

既に長期テストポルシェ718ボクスター GTSは、走行距離が1万6000kmを超えてしまった。その理由はこれまで広報車両として乗られてきたため。厳しい条件で走り込まれてきたはずだ。

一般的なオーナーの乗り方なら、2〜3倍の走行距離に相当すると考えていいだろう。それを踏まえると、インテリアの印象はまだフレッシュ。この世代のポルシェの内装は、とても堅牢に作られているようだ。

ポルシェ718ボクスター GTS 4.0(英国仕様)
ポルシェ718ボクスター GTS 4.0(英国仕様)

積算1万7636km ロングな6速MTのギア比

ポルシェ・ボクスターのシフトフィールは悪くない。だが、おそらく多くのドライバーが感じていることが、ギア比が公道走行にはロング過ぎるということではないだろうか。特に2速目が。

この718ボクスター GTSには6速MTが載っているが、2速で1000rpm当たり17.2km/hのギア比が与えられている。7800rpmのレッドラインまで回しすと、133.5km/hに到達してしまう。

ポルシェ718ボクスター GTS 4.0(英国仕様)
ポルシェ718ボクスター GTS 4.0(英国仕様)

3速ではレッドラインで185.0km/h、4速では231.7km/hという計算。かなり速度域が高い。このロング・レシオのおかげで、自然吸気エンジンのすべての回転域を存分に楽しむことが難しい。1速で目一杯引っ張るだけでも、正直リスキーだ。

AUTOCARの詳細データテストの内容を振り返ってみた。回転させる喜びを持つ、自然吸気エンジン・モデルのギア比と比較するために。やはり718ボクスターのギア比は、かなりロングだった。

変速回数を減らせる、走りのための2速

例えば、小さな1.5L 4気筒エンジンを搭載する現行型マツダMX-5(ロードスター)の場合は、2速で1000rpm当たり13.2km/h。7500rpmのレッドラインまで回せば、99.7km/hに届く計算になる。

シリアスな997型911 GT3 RSの場合、2速で1000rpm当たり14.4km/h。素晴らしい水平対向6気筒エンジンは、8500rpmという高回転域まで吹け上がるが、そこまで回しても123.9km/hという計算だ。

ポルシェ718ボクスター GTS 4.0(英国仕様)
ポルシェ718ボクスター GTS 4.0(英国仕様)

フェラーリ812スーパーファストには、8900rpmまで回るV型12気筒が載っている。これでも、2速で1000rpm当たり14.8km/h。レッドラインで131.9km/hとなる。718ボクスター GTSより、まだ2km/hほど低い。

さらにロングなギア比を探したら、ブガッティ・ヴェイロン・スーパースポーツが出てきた。2速は1000rpm当たり22.8km/hで、146.4km/hまで加速できる計算になる。だがヴェイロンの場合、7速目で431.3km/hまで到達させる必要がある。

718ボクスター GTSのギア比には、CO2の排出量を抑えるという目的がある。また、古くからのエンジニアに、2速での走りを好む人が多いこともあるようだ。コーナーの続く区間でも、頻繁に変速する必要がなくなる。

ポルシェによれば、この6速MTは設計が古いことも理由だという。内部構造的に、ギア比を変更することは難しいらしい。どれが最大の理由なのかは定かではない。でも、筆者は走りのための2速、というのが真っ当な気がする。

記事に関わった人々

  • 執筆

    リチャード・レーン

    Richard Lane

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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