ポルシェ718ボクスター GTS 長期テスト(1) 911 GT3と比較

公開 : 2021.11.07 09:45

718ボクスターの高性能版、GTS。ジュニア・スーパーカー級のロードスターを日常使いすることで、本性と魅力に迫ります。

初回 GTSは2021年の極上レシピ

text:Richard Lane(リチャード・レーン)
translation:Kenji Nakajima(中嶋健治)

 
数ヶ月を1台とともにする長期テストへ加わるクルマは、必ずしもスリリングなモデルに限られるわけではない。それでも、一般的に得られるモノは多い。実際のところ、わたしたちが暮らす日常は穏やかなものだ。

クルマの進化とともにモデル間での個性の違いは薄くなり、ある種の均質化が進んでいる。クルマの備える魅力を理解し、好きだと心から実感するまでの時間は、以前より長くなっているようにも思う。

ポルシェ718ボクスター GTS 4.0(英国仕様)
ポルシェ718ボクスター GTS 4.0(英国仕様)

長期テストに加わっていたシュコダ・オクタビアvRSも、典型的な例だった。第一印象は、強く惹かれるものではなかったかもしれない。だが過ごす時間が長くなるほど、同僚はジワジワと染み入る魅力に惹かれてしまったという。

一方、ポルシェ718ボクスター GTSはそれとは別の種類のクルマだといえる。のっけから、抑えきれないような期待を抱かせてくれる。3枚のペダルに水平対向6気筒のエンジン、後輪駆動という構成は、2021年では極上のレシピだ。

筆者は、2020年の発表時に一度試乗させていただいた。2・3時間ほど運転しただけだったが、この上なく気分を良くしてくれるクルマだった。

一般的なミドシップ・スポーツカーにとって、日常的な使いやすさや乗りやすさは、ウイークポイントの1つ。ボクスター GTSの試乗レポートでの評価はすこぶる高かったものの、長期テストを通じてさらに点数を高めることは難しいかもしれない。

911 GT3ツーリングとの印象の違い

だから、長期テストに加わっただけでも良しとしよう。この赤いボクスター GTSは、英国ポルシェが広報用にメディアへ貸し出してきたクルマ。既にある程度走り込まれ、準備運動は済んでいる。

今回は偶然にも、より新しい992型のポルシェ911 GT3ツーリング・パッケージを試乗する機会があった。長期テストの冒頭には相応しくないかもしれないが、718ボクスター GTSとの印象を比較する結果となった。

レッドのポルシェ718ボクスター GTS 4.0とブラックのポルシェ911 GT3ツーリング・パッケージ
レッドのポルシェ718ボクスター GTS 4.0とブラックのポルシェ911 GT3ツーリング・パッケージ

既に新しい911 GT3ツーリング・パッケージの良さは、試乗レポートでご紹介済み。出色といえる911のGT3を持ち出してしまうと、比較相手は霞んでしまう。さすがのボクスター GTSでも、最初の10分で優劣が見えてしまった。

ボクスター GTSの方が911 GT3より13kg軽いが、サスペンションはソフトで、少し重いように感じられる。ホイールベースが長いことも、理由の1つだろう。

GT3ツーリング・パッケージに搭載される彫りの深いカーボンファイバー製のバケットシートに座った後だと、ボクスターのスポーツシート・プラスは座面の位置が高く、サポート性も乏しい。だが、ステアリングレスポンスは素晴らしい。

昨年運転した時は、何としてでも手に入れたいと感じた718ボクスター GTS。比較相手次第で、こうも印象が違ってしまうとは。

しかし、さらに数km走ると気持ちが変化していく。911 GT3ツーリング・パッケージの記憶が遠くなるにつれて、ボクスター GTSの印象が強く心身へ響いてくる。より狭いボディ幅が、ストロングポイントとして見えてくる。

記事に関わった人々

  • 執筆

    リチャード・レーン

    Richard Lane

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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