フォード・マスタング・マッハE GTへ試乗 486ps 選ぶならRWDのロングレンジ

公開 : 2021.12.26 19:05

○:速さと余裕を感じる操縦性のバランス △:シャシーのまとまり、ドライバーとの一体感
英国編集部が評価しました。

フォード初となる量産純EVのトップグレード

日常的に乗れる、魅力を感じさせる純EVが整いつつある。ユーザーの購入動機も勢いづいていくだろう。一方で今すぐ純EVには踏み切れない、という人も多いはず。数年前と同じく。

純EVは重い。カテゴリーとしては、乗り心地重視のファミリカーに属することが多い。電気モーターとバッテリーという組み合わせは、淡白なドライビング体験であることに変わりはない。

フォード・マスタング・マッハE GT(英国仕様)
フォード・マスタング・マッハE GT(英国仕様)

本当に運転する喜びを感じさせ、速く洗練された純EVを完成させることは難しいようだ。2021年に登場したモデルも、その事実を示している。アウディeトロン S クワトロやフォルクスワーゲンID. 4 GTXもそうだろう。

では英国の公道で初試乗となる、フォード・マスタング・マッハE GTはどうだろう。筆者は新技術を毛嫌いしているわけではない。しかし、純EVを従来のクルマのように成熟したものへ高めるには、その体験が重要になる。

マスタング・マッハE GTは、フォード初となる量産純EVのトップグレード。通常のマッハEとの違いは、ホイールとフロントブレーキの大型化、車高の落ちるスポーツサスペンションに、マグネライド・アダプティブダンパーの採用など。

好戦的なスタイリング処理が与えられ、リアモーターはパワーアップ。専用開発のドライブモードも実装される。前後の駆動用モーターを合わせた最高出力は486ps、最大トルクは87.4kg-mとなっている。

アウディeトロン S クワトロほどのパワーではないものの、ジャガーiペイスは凌駕する。数字としても大きいし、運転すれば充分以上と感じる。

優れたシャシーバランスと余裕ある操縦性

実際に郊外の道へ連れ出してみると、2.2tのファミリー・クロスオーバーが生む加速度として、社会的に許容される限度はこの辺だろうなと思わせる。青信号でのダッシュも、流れの速い高速道路への合流でも鋭い。

とはいえ、眠気が覚めるような加速は意外とすぐに慣れてしまう。実際に引き出せる場面も、荷物満載のトラックを追い越す時くらいに限られそうだ。

フォード・マスタング・マッハE GT(英国仕様)
フォード・マスタング・マッハE GT(英国仕様)

マスタング・マッハE GTは、ドライバーの走りに対する欲求を刺激的に応えてくれる時もある。だが、同じくらいよそよそしい感じを受ける時もあるようだ。内燃エンジンのクルマに乗り慣れた筆者としては。

サスペンションは、穏やかなドライブモードなら路面をしなやかにいなしてくれる。緩く伸びる高速コーナーでは、優れたシャシーバランスと余裕ある操縦性を披露し、ドライバーを驚かせてくれる。現在の多くの純EVより魅力的だ。それは否定しない。

英国人が思い描く、速いフォードらしい。スタビリティ・コントロールを切ると、ドライバーの背中辺りを軸に旋回するような振る舞いを見せる。80km/hくらいのコーナリングでもフロントノーズは安定し、出口が見えたら早めにパワーを掛けていける。

一方で、全高や全幅、車重がかさむ。スポーティなドライブモードでは乗り心地の落ち着きに欠け、ステアリングホイールやペダル類は鉛のように重い。それが、一層マッハE GTを重く感じさせる。

記事に関わった人々

  • マット・ソーンダース

    Matt Saunders

    英国編集部ロードテスト・エディター
  • 中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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