ドラマチックな無二のマッスルカー フォード・マスタング ベスト・ドリームカー賞 AUTOCARアワード2024

公開 : 2024.07.10 19:06

今年前半までを振り返り、各カテゴリーでのベスト・モデルを称えるAUTOCARアワード スーパーカーからコンパクトハッチまで、2024年に受賞した栄えある8台をご紹介

60年の歴史と累計1000万台の裏付け

英国だけでなく日本でも、V8エンジンを搭載したマッスルカーは特別な存在だ。グレートブリテン島に限れば、選択肢となるのはスポーツカー側にあるミドシップのシボレーコルベットと、フォードマスタングの2台くらい。

マスタングは、446psを発揮するフロントエンジン・リアドライブ。英国価格も約5万5000ポンド(約1100万円)と、市販されるV8エンジンのモデルとしてはお手頃といえる。そして60年間という歴史と、累計1000万台の販売という裏付けもある。

フォード・マスタング GT(欧州仕様)
フォード・マスタング GT(欧州仕様)

動力性能は欧州のライバルに並び、注目を集めるアメリカンなスタイリングは他が真似できない強み。高価すぎずカリスマティック。いつか運転してみたい、現実的な夢の1台に掲げられたとしても不思議ではない。

最新の7代目マスタングは、先代までの特徴の多くを受け継いでいる。だが同時に、ミレニアム世代やZ世代を取り込むべく、最新のデジタル技術も導入された。

車載コンピューターの処理能力は、従来の2倍。ダッシュボードには、13.2インチのモニターが2面。インフォテインメント・システムは最新のシンク4が実装され、ソフトウエアは無線通信でのアップデートに対応している。

ドラマチックな本物のマッスルカー

最高出力の設定に幅はあるが、マスタング GTなら0-100km/h加速は5.3秒。4500rpm以上ではV8エンジンのエネルギッシュさが顕になり、ドライな咆哮を周囲に放ちながら、7500rpmのレッドライン目掛けて上り詰めていく。本物のマッスルカーだ。

ライバルより直線加速は若干遅いかもしれないが、その過程は素晴らしくドラマチック。気性の荒いポニーカーを運転しているという、充足感がある。

フォード・マスタング GT(欧州仕様)
フォード・マスタング GT(欧州仕様)

加えて7代目では、走行時の洗練性も大幅に向上した。乗り心地は素晴らしく、サスペンションは路面の凹凸を巧みに均しながら、引き締まった姿勢制御を叶えている。フレッシュなゴムのように。

高速道路での快適性は、M2に並ぶといえる。1万ポンド(約200万円)近く安くても。

AUTOCARの英国編集部は、新しいマスタングを非常に気に入っている。能力の幅は従来以上に広い。この価格帯で、これほど素晴らしい充足度を得たモデルは、唯一といっていいだろう。

記事に関わった人々

  • 執筆

    ジョン・ブラッドショー

    John Bradshaw

    英国編集部フォトグラファー
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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