“カローラらしい価格”だと、どんなSUVになるのか? カローラ・クロスのハイブリッド車試乗

公開 : 2021.12.29 17:45

トヨタ・カローラ・クロスの試乗レポートです。ポイントはカローラらしい価格帯を目指したこと。HV車の走り・乗り心地・内装を検証します。

サイズ/最低地上高 身内SUVと比較

カローラ・クロスの全長はヤリス・クロスより約30cm長く、RAV4よりも約10cm短い。

車体サイズはRAV4寄りだが、用いられているプラットフォームも同様の関係にあり、ハードウェア面の差異も含めて大中小あるいは三姉妹という関係に喩えてもいいだろう。

カローラ・クロスZ(ハイブリッド車/FF)。ボディサイズは全長4490×全幅1825×全高1620mm。
カローラ・クロスZ(ハイブリッド車/FF)。ボディサイズは全長4490×全幅1825×全高1620mm。    前田惠介

ただし、この三姉妹は悪路踏破性をモノサシにすると志向が異なる。

RAV4は乗用車型プラットフォームを用いたSUVとしては悪路踏破性を重視。本格オフローダーほどの耐久性はないにしても、踏破性はSUVではトップクラスだ。

一方、カローラ・クロスとヤリス・クロスの4WD車は滑りやすい路面の発進性能を軸とした、いわゆる生活四駆プラスα。トヨタハイブリッド4WDで定番のE-Fourも後輪駆動ユニットに小出力誘導モーターを使い、性能的には簡易型だ。

しかも、カローラ・クロスのガソリン車には4WD車が設定されず、最低地上高も160mmとヤリス・クロス(170mm)より小さい。

もっとも、開発の狙い自体がオフロード用途を前提にしていない。

悪路対応はオマケ程度で、本命はSUVパッケージを活かしたキャビンユーティリティや見晴らしのよさ。

SUVをモチーフにしたセミハイトワゴンと考えてもいい。ポスト・ステーションワゴンにも位置付けられるSUVなのだ。

車内・トランクの広さ

フロア面積はカローラ・ツーリング(ワゴン)とほぼ等しく、室内高は約10cm広い。

室内高を活かしてか、後席座面高を高めにセットし、若干前進させていることでレッグスペースと荷室に余裕を持たせている。

後席を倒せば、荷室の奥行きは1885mmまで広がるが、シート部との境に大きな段差が。フラットなスペースで車中泊するための「ラゲッジアクティブボックス」が純正品で用意されている。
後席を倒せば、荷室の奥行きは1885mmまで広がるが、シート部との境に大きな段差が。フラットなスペースで車中泊するための「ラゲッジアクティブボックス」が純正品で用意されている。    前田惠介

ベルトラインを水平に、上下開口を大きく6ライト構成としたサイドウインドウ・グラフィックは、高めのアイポイントと相まって、後席乗員にも天地方向に開けた見晴らしをもたらす。実用スペースや居心地はRAV4と大差ない。

トランク 後席をたたむと?

後席収納は6:4不等分割のシングルフォールディング式。床面地上高が低いせいもあって収納時はシート部との段差が大きい。

また、リアゲート開口との掃き出し段差も大きく、実用性や積載の多様性、あるいは汚れ濡れ物の出やすいアウトドア趣味を配慮した工夫は見られないが、荷室容量はコンパクトクラスでは最大級である。

内装・装備について

インパネ周りの基本デザインは他のカローラ系と共通性を持たせている。

インパネ中央上部には最近のトヨタ車では定番になっているDA(ディスプレイオーディオ)が配される。

カローラ・クロスの前席内装(内装色:ブラック)。ZにはメーカーOPでスマホのワイヤレス充電機能も。
カローラ・クロスの前席内装(内装色:ブラック)。ZにはメーカーOPでスマホのワイヤレス充電機能も。    前田惠介

全グレードで7インチ仕様が標準装着されるが、G以外は9インチ仕様も装備。

この辺りの設定は他のカローラシリーズに準じているが、カローラ・クロス特有の装備として最上級グレードのZには運転席パワーシートを標準装備している。

記事に関わった人々

  • 執筆

    川島茂夫

    Shigeo Kawashima

    1956年生まれ。子どものころから航空機を筆頭とした乗り物や機械好き。プラモデルからエンジン模型飛行機へと進み、その延長でスロットレーシングを軸にした交友関係から自動車専門誌業界へ。寄稿していた編集部の勧めもあって大学卒業と同時に自動車評論家として自立。「機械の中に刻み込まれたメッセージの解読こそ自動車評論の醍醐味だ!」と思っている。
  • 撮影

    前田惠介

    Keisuke Maeda

    1962年生まれ。はじめて買ったクルマは、ジムニーSJ30F。自動車メーカーのカタログを撮影する会社に5年間勤務。スタジオ撮影のノウハウを会得後独立。自動車関連の撮影のほか、現在、湘南で地元密着型の写真館を営業中。今の愛車はスズキ・ジムニー(JB23)
  • 編集

    徳永徹

    Tetsu Tokunaga

    1975年生まれ。2013年にCLASSIC & SPORTS CAR日本版創刊号の製作に関わったあと、AUTOCAR JAPAN編集部に加わる。クルマ遊びは、新車購入よりも、格安中古車を手に入れ、パテ盛り、コンパウンド磨きで仕上げるのがモットー。ただし不器用。

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