好調ゆえにあと少しを望みたい トヨタ・カローラ・クロスへ英国試乗 熱効率はトップ

公開 : 2022.10.27 08:25  更新 : 2022.10.27 11:55

カローラの派生モデル、カローラ・クロスへ英国編集部が試乗。好調なトヨタだけに、少々辛口評価となったようです。

カローラのスピンオフ・モデル

先代までは、実用的ながら走りは少々退屈だと評価されてきた、トヨタ・カローラ。しかし最新版では、英国編集部でもオススメのモデルへ大転換を遂げている。

オーリスという名で売っていた世代に別れを告げた、見て良し、走って良しの、優れたハッチバックだといっていい。近年のトヨタ車の1台として、所有することに魅力を感じさせる。

トヨタ・カローラ・クロス 2.0ハイブリッドFWD(欧州仕様)
トヨタ・カローラ・クロス 2.0ハイブリッドFWD(欧州仕様)

そんなカローラの好調を受けてか、トヨタはスピンオフ・モデルを展開している。素晴らしいGRカローラの英国上陸は惜しくも果たされなかったが、カローラ・クロスに対する決定は違った。ロンドン在住でも、間もなくディーラーで購入できるようになる。

このカローラ・クロスは、カローラのSUV版としてトヨタ自ら主張する新モデル。日本や北米などでは既に1年ほど前から販売されている、グローバル・モデルの1つに据えられている。

英国以外にも、欧州の一部の国へ導入が決定している。今回は2023年の欧州カー・オブ・ザ・イヤーの審査も兼ねて、デンマークで試乗する機会を得た。

SUVとしては存在感が薄めのルックス

カローラ・クロスを、英国のトヨタはSUVだと主張する。だが筆者には、アウディA4 オールロードクワトロのような、車高を持ち上げたステーションワゴンのように見える。

カタログ値ではカローラ・ツーリングより175mmも全高は高く、1620mmあるものの、実車を目の前にするとそこまで背が高くは感じない。ボディの位置は路面に近い。

トヨタ・カローラ・クロス 2.0ハイブリッドFWD(欧州仕様)
トヨタ・カローラ・クロス 2.0ハイブリッドFWD(欧州仕様)

登場から既に5年が経過しつつもスタイリッシュなままのC-HRや、ひと回り大きいRAV4が備えるような、ガタイが大きく頼もしい雰囲気は得ていない。SUVとして、存在感が薄いように思う。

ボディサイズは、その2台の中間に位置する。カローラ・クロスの全長は4460mmで、C-HRは4385mm、RAV4は4600mmとなり、確かにこの間のギャップを埋めるにはジャストなサイズといえるのだが。

「クロス」として派生したもう一台、ヤリス・クロスには、見栄えのするスタイリングが与えられている。属するクラスのなかでも、ちゃんとSUVらしい。カローラでトーンダウンさせる必要はなかったのではないだろうか。

大人しい見た目と同様に、運転した印象には、前時代のオーリスの雰囲気が漂わなくもない。特にアクセルペダルを軽めに踏んでいても、ハイブリッド・システムのeCVTがもたらすノイズがドライビング体験を支配し、楽しいとは感じにくい。

システムとしては優秀で、短距離なら駆動用モーターだけでの走行も可能。EVモードの静かで穏やかな質感が味わえるだけに、対照的に際立ってしまう。

記事に関わった人々

  • 執筆

    マーク・ティショー

    Mark Tisshaw

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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