新時代のBMW BMW iX xドライブ50 Mスポーツへ試乗 523psに105.2kWh 前編

公開 : 2022.02.07 08:25

BMWのフラッグシップ純EV SUV、iX。上位グレードは、本来の良さを一層引き立てると英国編集部は評価します。

523psと105kWhが与えられるiXの50

まったく新しい純EV SUVのBMW iX。日本でも販売がスタートしたようだ。

ブランドが推進するゼロエミッション・モデルの旗振り役として、先進的なプラットフォームを採用し、インターネット接続を可能とするコネクティビティと、半自律運転システムなどが盛り込まれている。もちろん、有能な電動化技術も。

BMW iX xドライブ50 Mスポーツ(英国仕様)
BMW iX xドライブ50 Mスポーツ(英国仕様)

AUTOCARでは、すでに何度かiXの試乗レポートをご紹介してきた。最近、英国で試乗したのは、エントリーグレードに当たるxドライブ40だった。今回したxドライブ50 Mスポーツは、英国では中間グレードに位置する。

他ブランドでは、グレードによってシングルモーターとツインモーターとで差別化される例も多いが、iXの場合は共通してツインモーター。四輪駆動が標準だ。

かといって2万5000ポンド(約387万円)の追加費用を払って、iX 40から50へアップグレードする価値がないわけではない。一番大きな違いが最高出力。iX 40では326psだが、50では523psが与えられている。

さらに駆動用バッテリーの容量も違う。iX 40では71kWhだが、50では105kWhと、4割ほど増える。そのぶん航続距離も伸び、iX 50なら40より193kmも遠くまで走ることが可能。DCでの急速充電能力も、最大で150kW対195kWと、差が付けられている。

加えて、50はエアサスペンションとアクティブレシオ四輪操舵システムも標準装備。40にも搭載可能だが、追加費用のオプションになる。実際は、ある程度予算が決まっているはずだから、40と50のどちらを選ぶべきか悩まないかもしれないが。

カーボンケージに新世代プラットフォーム

iXは、BMWがカーボンケージと呼ぶ複合素材構造と、アルミニウム製の新世代プラットフォームで構成される。駆動用モーターも、レアアースを使用しない新開発のものだという。だが日産リーフの2倍の蓄電量を持つ、全長5mのSUVだから、車重は重い。

今回の試乗車のようにMスポーツを選択すると、ディスクブレーキもアップグレードされる。車重2510kgあるiXを鋭く減速させる際、役立ってくれるだろう。

BMW iX xドライブ50 Mスポーツ(英国仕様)
BMW iX xドライブ50 Mスポーツ(英国仕様)

BMW iXを目の当たりにすると、全高が高く、全幅もかなりある。ところが、運転してみると驚くほど扱いやすく、操縦性のバランスも秀でている印象だった。ドライバーが望めば、充分に鋭く方向転換も可能だ。

高級SUVと呼べるモデルだから、活発な運転をしようと考えるオーナーは少ないかもしれない。それでも、見た目以上に多彩な能力を備えていることは間違いない。

ある時はとても穏やかで滑らかに、心地よく運転できる。反面その気になれば、手のひらを返したように素早くも走る。それでいて車内は広く、実用性も高い。これほど多能なモデルは、他にすぐには思いつかない。

直接的なライバルを挙げるなら、アウディeトロン Sが近いかもしれない。テスラモデルXは、そこまでではないだろう。

記事に関わった人々

  • 執筆

    マット・ソーンダース

    Matt Saunders

    英国編集部ロードテスト・エディター
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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