新時代のBMW BMW iX xドライブ50 Mスポーツへ試乗 523psに105.2kWh 後編

公開 : 2022.02.07 08:26

BMWのフラッグシップ純EV SUV、iX。上位グレードは、本来の良さを一層引き立てると英国編集部は評価します。

エアサスで唸らされるほど望外な快適性

BMW iX xドライブ50 Mスポーツは、望外なほどに快適。iX 40に装備されるスチールコイル・サスペンションと違い、50のエアサスペンションはしなやかで、路面を見事にいなしてくれる。

試乗車は22インチという、オプションの大きなホイールを履いていたが、確認しなければ気付かないだろう。特に、高速道路での穏やかさには唸らされる。ツギハギや段差の多い市街地の舗装も、見事に均してくれる。

BMW iX xドライブ50 Mスポーツ(英国仕様)
BMW iX xドライブ50 Mスポーツ(英国仕様)

乗員が揺れを感じるのは、うねりがある路面で、左右別々に強い入力がサスペンションへ加わった時くらい。車高の高いクルマに乗っている、ということを教えるように。

iXの動力性能や操縦性には、BMWらしい質感が残されている。新しい印象も加わっているが、調和が取れており、好印象にまとまっている。

自社製の2基のAC同期モーターは、現代の純EVが採用するなかでは、かなりレスポンスが鋭いようだ。パワフルで、高速道路の速度域+αまで不足ない推進力を生み出す。

iXの50は英国や日本で運転する限り、どこを走らせても不足なく速い。大型SUVであることを考えれば、有り余るほど。むしろ、アクセルレスポンスを少し緩めても良いかもしれない。

ペダルを少し傾けるだけで、必要なスピードへすぐに到達してしまう。といっても、鋭い加速力は実態として感じ取れる。長いストロークを使わないように、体験で覚えれば良いだけではある。

駆動用モーターの能力を理解すれば、iX 50のスピードを丁寧に制御できる。時々、抑えていた欲求を解き放てば、呆れるほどアグレッシブにも走れる。

低速コーナーではBMWらしいFRの挙動

回生ブレーキの効きは、状況で可変するアダプティブ・モードが初期設定。iXは前方の道が開けている限り惰性走行し、アクセルペダルを放しても速度は落ちにくい。渋滞時などでは、減速感に慣れるまで少し時間が必要そうだ。

強中弱の3段階からドライバーが減速力を変えることも可能だが、ステアリングホイールにパドルはない。回生ブレーキをオフにもできない。

iXには、5台のカメラと5台のレーダーセンサー、12台の超音波センサーが搭載されている。今後、法的に許されれば、レベル3の自律運転システムにも対応が可能だという。

ステアリングホイールは、中心の位置が下側にずれた8角形。実際に運転してみると、さほど気にはならなかった。四輪操舵と可変レシオシステムが組み合わされ、交差点などでは自動的に旋回をアシストしてくれるためだ。

コーナリングでは、ボディは遠心力で外側へ少し傾くものの、操舵性はニュートラルで機敏。グリップ力のバランスも良く、狙ったラインを安定して進んでくれる。

路面の不意な起伏を通過したり、追加のパワーを与えてもシャシーは乱れにくく、リカバリーも容易。低速コーナーではBMWらしく、後輪駆動であることをうかがわせる挙動も感じ取れる。

ステアリングホイールは軽く、感触は薄いものの、高級車というイメージには合致している。フロントタイヤからの手応えは、もう少しあっても良いだろう。

記事に関わった人々

  • 執筆

    マット・ソーンダース

    Matt Saunders

    英国編集部ロードテスト・エディター
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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