ランボルギーニ・カウンタックでキャノンボールを再現 英国のA66号線を西へ 後編

公開 : 2022.07.09 09:46

ハイブリッドの限定モデルとして復活したカウンタック。英国編集部がA66号線のロードトリップで魅力を確認しました。

スーパーカーは市街地のクルマではない

英国のグレートブリテン島を挟む、北海からアイルランド海を目指すのが、筆者にとってのキャノンボール・レースだ。麗しいブロンド美女やアクションが得意な香港俳優はいないし、走行距離も3000マイル(約4830km)よりだいぶ短いけれど。

A66号線の起点、東海岸のレッドカーという街から西海岸の終点、ワーキントンまでは200kmほど。2時間半もあればゴールできる計算だが、新しいランボルギーニカウンタックが相棒だから、間違いなく楽しいドライブになる。

ランボルギーニ・カウンタック(欧州仕様)
ランボルギーニ・カウンタック(欧州仕様)

工業地帯が広がるレッドカーという町には、北部の港町に漂うような、ロマンチックな雰囲気が足りない。それでも、フォトグラファーのリュク・レーシーは、釣り船が並ぶ沿岸の公園で素敵な写真を撮影してくれた。

やや不機嫌そうに、滑らかなエグゾーストノートを放ちながら、カウンタックが市街地を進む。運転席からの視認性は、余り良くない。乗り心地には落ち着きが足りず、シフトチェンジもスムーズではない。スーパーカーは、市街地のためのクルマではない。

3つ又のロータリー交差点が、A66号線の始まり。ティーズ川沿いに、片側2車線の流れの良い道が続く。トラックのタイヤが、筆者の顔の真横で回転している。午前中の太陽を後ろにし、ロードトリップの始まりだ。

映画キャノンボールのオープニングシーンは、パトカーに追跡されるカウンタックが主役。今回の筆者は、そんな目に会いたくない。

ワインディングで味わう極上の時間

お借りしたクルマは、イタリアで準備された英国風のプロトタイプ用ナンバープレートを下げている。フロント側のものは、都合で外されている。合法だと聞いているが、警察に出くわしたら説明は必要かもしれない。加速して逃げるわけにはいかない。

A66号線を、カウンタックでひっそり走ることは難しい。多くのドライバーが筆者を追い越し、スマートフォンを片手に写真を撮っていく。そして、轟音を響かせながら自分たちを抜き返していくのを期待している。むしろ、そうしないのは失礼だろう。

ランボルギーニ・カウンタック(欧州仕様)
ランボルギーニ・カウンタック(欧州仕様)

アヴェンタドール由来の6.5L V型12気筒エンジンは、オリジナルのカウンタックが搭載していた、寿命の長かった第1世代のユニットとは点火順序が異なる。だが、サウンドの興奮度合いは変わらず素晴らしい。

アクセルレスポンスには息を呑む。9000rpmのレブリミットめがけて、見事な咆哮を響かせる。迷惑に感じる人もいるだろう。だが、スマートフォンを片手にしている人にとっては、待ち望んだ音響なはず。

少しレトロ感のあるスタイリングも同じ。このV型12気筒には相応しいと思う。

A66号線から少しそれて、カウンタックをワインディングで味わう。キャノンボールの走り方としては正しくないかもしれないが、極上の時間だった。

ステアリングは正確で、市街地ではギクシャクしていた硬い乗り心地も、見事な姿勢制御へ転じていく。ドライブモードをスポーツにすると、エンジンサウンドが高まり、アフターファイヤーの破裂音が混ざりだす。

記事に関わった人々

  • 執筆

    マット・プライヤー

    Matt Prior

    英国編集部エディター・アト・ラージ
  • 撮影

    リュク・レーシー

    Luc Lacey

    英国編集部フォトグラファー
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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