DS 4 詳細データテスト 快適性は狙い通り ATの制御とブレーキペダルに難あり PHEVは高い

公開 : 2022.07.09 20:25  更新 : 2022.08.23 00:33

DSの新たな量販ハッチバックは、スポーティさと決別して快適性と高級感にフォーカスしたブランドの狙いにマッチしたクルマでした。それでも、操作系の不備は気になります。また、購入時には慎重に仕様選択したいところです。

はじめに

スポーティなものは売れる。マーケティングでは、これが長い間の常識だ。だからこそ、広告に描かれる優雅で裕福なひとびとはテニスやハイキングに興じているのであって、彼らが数学の難問と格闘していることなどありえない。

BMWがMスポーツを、メルセデスがAMGラインを積極的に設定しているのも、猫も杓子もスポーツモードを設定しているのも、やはり同じ理由だ。ヤボったい4スポークのステアリングホイールなどというものは、今や絶滅危惧種だ。

テスト車:DS 4 E-テンス 225 パフォーマンスライン・プラス
テスト車:DS 4 E-テンス 225 パフォーマンスライン・プラス    JOHN BRADSHAW

しかし、ほとんどのユーザーはそれほどスポーティでダイナミックなハンドリングを必要していないのだから、じつに矛盾した話だ。B級道路を攻めたいドライバーばかりではないし、日常使いでは荒れた道でも扱いやすく、静かで、クッションの効いた乗り心地を求めるはずだ。

それでもマーケティングの力は強い。それゆえ、快適志向のブランドやクルマはすっかり少なくなってしまった。その状況に変化をもたらそうとしているのがDSだ。

シトロエン発の高級ブランドは、2016年に母体から独立を果たし、明確で一貫した商品戦略とデザインを確立した。最初のモデルは、シトロエンDS3として登場したDS 3で、ミニを意識したスポーティなモデルだった。かつての4や5も風変わりなばかりで、感心するほどのクルマではなかった。

3クロスバックや7クロスバックで、DSが進むべき道を見つけはじめたのだとしたら、9は正しい方向へ進んでいると言えるが、問題もあった。今回の4には、それを正して魅力や個性へ変え、量販モデルとなることが期待される。

記事に関わった人々

  • 執筆

    マット・ソーンダース

    Matt Saunders

    役職:ロードテスト編集者
    AUTOCARの主任レビュアー。クルマを厳密かつ客観的に計測し、評価し、その詳細データを収集するテストチームの責任者でもある。クルマを完全に理解してこそ、批判する権利を得られると考えている。これまで運転した中で最高のクルマは、アリエル・アトム4。聞かれるたびに答えは変わるが、今のところは一番楽しかった。
  • 執筆

    イリヤ・バプラート

    Illya Verpraet

    役職:ロードテスター
    ベルギー出身。AUTOCARのロードテスターとして、小型車からスーパーカーまであらゆるクルマを運転し、レビューや比較テストを執筆する。いつも巻尺を振り回し、徹底的な調査を行う。クルマの真価を見極め、他人が見逃すような欠点を見つけることも得意だ。自動車業界関連の出版物の編集経験を経て、2021年に AUTOCAR に移籍。これまで運転した中で最高のクルマは、つい最近までトヨタGR86だったが、今はE28世代のBMW M5に惚れている。
  • 撮影

    ジョン・ブラッドショー

    John Bradshaw

    英国編集部フォトグラファー
  • 翻訳

    関耕一郎

    Kouichiro Seki

    1975年生まれ。20世紀末から自動車誌編集に携わり「AUTOCAR JAPAN」にも参加。その後はスポーツ/サブカルチャー/グルメ/美容など節操なく執筆や編集を経験するも結局は自動車ライターに落ち着く。目下の悩みは、折り込みチラシやファミレスのメニューにも無意識で誤植を探してしまう職業病。至福の空間は、いいクルマの運転席と台所と釣り場。

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