ランボルギーニ・カウンタックでキャノンボールを再現 英国のA66号線を西へ 前編

公開 : 2022.07.09 09:45

ハイブリッドの限定モデルとして復活したカウンタック。英国編集部がA66号線のロードトリップで魅力を確認しました。

スーパーカーを定義したカウンタック

過去の伝説を蘇らせることは難しい。うっかり間違えると、オリジナルの輝きさえも霞ませてしまう。

2021年に復活を遂げたランボルギーニの伝説、カウンタックでも同じ。小さい子供から大人まで、思わず振り返って声を漏らしてしまうような、スーパーカーであるべきだ。

ランボルギーニ・カウンタック(欧州仕様)
ランボルギーニ・カウンタック(欧州仕様)

1974年に華々しくデビューしたオリジナルのカウンタックは、20世紀後半を代表するモデルの1台といえる。ランボルギーニとして2番目のミドシップであり、スーパーカーというクルマを定義した存在でもあった。

1970年代から1990年代にスーパーカーを説明するなら、尖ったフォルムを真っ先に挙げただろう。ルーフは低く、攻撃的な雰囲気も必要だ。エンジンは8気筒か12気筒で、ミドシップであるべき。それは、まさにカウンタックだった。

象徴的なモデルとして、2021年にはアメリカの国立ヒストリック・ビークル・レジスターという団体に1台が所蔵されている。アメリカを代表する、いわばクルマの殿堂。リストに名が刻まれたのは、まだ30台ほどしかない。

実際に保管されることになったカウンタックは、シャシー番号1121112の、1979年式LP400 S。前後にウイングの付いた黒いカウンタックで、ハリウッド映画、キャノンボールに出演したクルマだ。

日本の読者にも、ジャッキー・チェンの映画としてご記憶の方がいらっしゃると思う。架空のストーリーではあったが、1970年代に密かに実行された、東海岸から西海岸を目指す違法の公道レースから影響を受けたものだったらしい。

6.5L V型12気筒エンジンで112台の限定

映画評論家は、キャノンボールを低レベルの作品だとこき下ろした。芸術性の低いお粗末な映画だと。だが、観衆の反応は違った。大きな興行収入を稼ぎ出し、続編も制作されている。

最近は、古い名作のリメイクが流行らしい。そこで筆者は、カウンタックの復活を祝うべく、グレートブリテン島の東海岸から西海岸を目指すことにした。英国にはルート66はないが、A66号線がある。

ランボルギーニ・カウンタック(欧州仕様)
ランボルギーニ・カウンタック(欧州仕様)

2021年版のカウンタックは、最高速度355km/hを誇る、ミドシップのスーパーカー。6.5LのV型12気筒エンジンを搭載し、生産数は112台の限定となっている。

スタイリングに対する印象はいかがだろう。英国のデザイン博物館の創設に関わった、スティーブン・ベイリー氏は、「カウンタックのフォルムを更に良くすることは難しい。でもコンセプトを維持しながら、ディティールを展開させることはできたでしょう」

「50年という歴史を持ち、その時代の象徴でもあります。独特なスタイリングと並外れた動力性能で、自動車のエリートとしての地位を勝ち取っていますね」。と、オリジナルのカウンタックに対して言葉にする。

初代のデザイナーにも触れる。「マルチェロ・ガンディーニは、新しいカウンタックには関わっていないと表現するでしょう。1971年のオリジナルを手掛けた本人として」

「彼が抱いていたスピリットやビジョンといったものが、新型には反映されていません。型破りなイノベーションといったものを」

記事に関わった人々

  • 執筆

    マット・プライヤー

    Matt Prior

    英国編集部エディター・アト・ラージ
  • 撮影

    リュク・レーシー

    Luc Lacey

    英国編集部フォトグラファー
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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