現在の英国車のベスト アストン マーティンDBX707へ試乗 ノーマルからGT3級の変貌

公開 : 2022.08.05 08:25  更新 : 2022.08.08 07:05

エンジンとシャシーへ徹底的な手が加えられた707。優れるDBXが一層見事なSUVになったと英国編集部は評価します。

ポルシェ911を白眉のGT3へ仕上げたのに近い

マッシブな佇まいの、車重2.2tもあるアストン マーティンDBX707は、現在の英国で製造される自動車のベストといっていい。少し軽はずみに聞こえるかもしれないけれど。

アストン マーティンも、このクルマの完成度には自信を持っている。英国編集部も、その事実を知って欲しいと考えている。そこで707psを発揮するスーパー・クロスオーバーを、改めて英国の一般道で運転してみることにした。

アストン マーティンDBX707(英国仕様)
アストン マーティンDBX707(英国仕様)

AUTOCARを定期的にお読みいただいている方ならご記憶かもしれないが、既にシルバーストーンのストウ・サーキットと、イタリアのサルデーニャ島で試乗は済ませている。筆者の思い入れは、通常より大きい。

英国価格は通常のDBXより約1万8000ポンド(約300万円)高い、19万ポンド(約3173万円)。それでいてアストンマーティンは、売れるDBXの半数を、707が占めて欲しいと考えている。

既にDBXは、ブランドの販売台数の5割を占める稼ぎ柱。707は、素晴らしい完成度を備えるだけでなく、重要な収入源にもなるのだ。

707psを発揮する高性能SUVとして、スタイリングはかなりアグレッシブ。この造形が美的感覚と一致するかどうかは、人によって異なると思う。それでも内容を詳しく知るほど、約1万8000ポンド(約300万円)の追加金額は妥当に見えてくる。

筆者の印象としては、DBXがDBX707へアップデートされた変貌ぶりは、ポルシェ911を白眉の911 GT3へ仕上げたものに近い。911 GT3から、よりハードコアな911 GT3 RSにしたようなものではない。飛躍が大きいのだ。

4.0L V8ツインターボは707psと91.6kg-m

4.0L V8ツインターボエンジンの最高出力は、もともと不足なかった550ps/6500rpmから707ps/6000rpmへ大幅に上昇。これほどのパワーアップは、ソフトウエアを書き換えただけでは実現できない。

通常のDBXのエンジンには、メルセデスAMG GT 63 4ドアクーペ用のターボが組まれている。だが707には、より大きくブースト圧を短時間で高める、2ドアのGT ブラックシリーズ用ターボを採用。ボールベアリングを内蔵し、16万rpmで回転するらしい。

アストン マーティンDBX707(英国仕様)
アストン マーティンDBX707(英国仕様)

リアアクスルの電子制御リミテッドスリップ・デフも、GT 63用のものが搭載される。通常のDBXにはE63 S用のものが組まれるが、能力としては15%ほど高いそうだ。

トランスミッションもGT 63用となる、ウェットクラッチ式の9速オートマティック。20.4kg-m増しの91.6kg-mという最大トルクを受け止められるうえに、アクセルレスポンスと変速スピードも向上させている。

リアのドラブシャフトも強化された。プロペラシャフトのねじり剛性も高められている。肉体改造で車重は20kg増したが、電動化技術は一切採用しないという潔さでもある。

ここまでパワートレインがアップデートされると、フロントマスクにも改良が必要になる。ボディ前面の空気の流れが調整され、エンジンへ送られる吸気量は最大で80%も増えている。もちろん、冷却系も強化してあることはいうまでもない。

リアバンパー下部には、DBR9風のディフューザーが与えられた。シャシー下面の空気を滑らかに吐き出すために。

記事に関わった人々

  • 執筆

    リチャード・レーン

    Richard Lane

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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