F1王者アロンソの「理想の1台」 V12で6速MT、英アストン マーティン・ヴァリアント誕生秘話インタビュー

公開 : 2024.07.19 18:05

F1ドライバーのフェルナンド・アロンソ個人の要望で生まれた、新型アストン マーティン・ヴァリアント。なぜマニュアルなのか? どんなクルマを目指したのか? アロンソ本人に誕生秘話を聞いた。

アロンソの依頼で誕生

F1ドライバーのフェルナンド・アロンソは、アストン マーティンの新型「ヴァリアント」誕生の経緯について、次のように語った。

「ヴァラーが欲しくて、少し変わった仕様にできないか、特別なバージョンを作ってもらえないかとお願いしたんだ」

アストン マーティン・ヴァリアントとフェルナンド・アロンソ
アストン マーティン・ヴァリアントとフェルナンド・アロンソ

最高出力745psの5.2L V12ツインターボを6速MTと組み合わせたヴァリアントは、可能な限りピュアなドライビング・エクスペリエンスを追求している。昨年公開されたヴァラーをベースに、さらにハードコアに仕上げた発展型だ。

アロンソはAUTOCARの取材に対し、「最終的には感動的な芸術作品に仕上がったと思う」と語った。

ヴァリアントはわずか38台の限定生産で、200万ポンド(約4億円)近い価格が付けられる。その誕生にはアロンソが深く関わっている。

英国で開催のグッドウッド・フェスティバル・オブ・スピード2024(7月11~14日)で、2度のF1世界チャンピオンに輝いたアロンソに話を聞いた。

なぜマニュアルを選んだ?

――ヴァリアントはどのようにして生まれたのですか?
「すべてはヴァラーから始まった。僕はまずヴァラーが欲しくて、ちょっと変わったものにできないかと頼んだんだ」

「エアロディスクなどの機能が大好きで、僕のために特別なバージョンを作ってもらえないかとチームにお願いした。エアロディスクは明らかにホモロゲーションされていなかったし、リアウイングもホモロゲーションされていなかった。要望リストを見直したとき、彼らはこう言ったんだ。『それなら、新しい名前で新しいマシンを作ったほうがいいと思う。限定仕様車を作ろう』」

アストン マーティン・ヴァリアントとフェルナンド・アロンソ
アストン マーティン・ヴァリアントとフェルナンド・アロンソ

「もちろん僕は賛成して、それからエアロ、パワーアップ、軽量化など、レーシングドライバーが好むすべての要素に取り組み始めた。最終的には感動的な芸術作品に仕上がったと思う」

――走りはどんな感じですか?
「かなり過激だよ。サーキットカーでありながら、一般道でも走れるように作られている。マルチマティック・ダンパーのおかげでハンドリングはとてもいい。僕にとってV12のサウンドは、クルマを感じ、ハンドルを握る情熱を伝えてくれる特別な方法だ。特に驚いたのはサスペンションとハンドリングの2つだけと、サウンドも素晴らしいよ」

――普段マニュアル車に乗る頻度は?
「まったく」

――では、理想のクルマにマニュアルを選んだ理由は?
「若いころはフォーミュラ・ニッサンでもマニュアル車に乗って育った。これはコレクターズカーで、10年後、15年後に乗って、すべての始まりとロードカーの始まりを感じたいと思っている」

「僕は14歳か15歳のときから18歳になるまで、免許を取ってクルマを運転できるようになるのが待ち遠しかった。いろいろなシングルシーターに乗ったり、全速力で運転したりしたけれど、ずっとクルマと2人きりになれる瞬間を待っていた。高速道路に乗ったり、1人でレストランに行ったりしたことは忘れられない。それにV12でマニュアルというのは、普通のオートマチックよりも魅力があると思う」

――よく運転するストリートカーはありますか?
「毎日運転しているよ。モナコに住んでいるから、クルマよりもスクーターを使うことが多いけど、それでもよく運転するよ。毎週空港まで行くんだ」

記事に関わった人々

  • 執筆

    マット・プライヤー

    Matt Prior

    英国編集部エディター・アト・ラージ
  • 翻訳

    林汰久也

    Takuya Hayashi

    1992年生まれ。幼少期から乗り物好き。不動産営業や記事制作代行といった職を経て、フリーランスとして記事を書くことに。2台のバイクとちょっとした模型、おもちゃ、ぬいぐるみに囲まれて生活している。出掛けるときに本は手放せず、毎日ゲームをしないと寝付きが悪い。イチゴ、トマト、イクラなど赤色の食べ物が大好物。仕事では「誰も傷つけない」「同年代のクルマ好きを増やす」をモットーにしている。

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