世界を変えたクルマ 27選 常識はずれのインフルエンサー? 波紋を残した名車たち

公開 : 2023.01.15 18:05

1台のクルマが世界を変えることがあります。モノコック構造、安全性能、ハイブリッド技術など、斬新なアイデアにより自動車業界に革命を起こした27台のクルマを紹介します。

1台のクルマで世界は変わる

ほとんどのクルマは、生まれては消えていき、波紋を広げることはほとんどない。しかし、時折、世界を揺るがすほどの大きな衝撃を与えるクルマが登場する。

現在では、業界の常識を打ち破るような製品や企業は、ディスラプター(破壊者)と呼ばれることがある。今どきの言葉で人に例えるなら、インフルエンサー(影響力を持つ人)となるかもしれない。自動車の歴史を振り返ると、そのようなクルマは何台も見つけることができる。

自動車業界に大きな影響を与えた「革命」的なクルマを取り上げる。
自動車業界に大きな影響を与えた「革命」的なクルマを取り上げる。

今回は、自動車業界の常識を打ち破り、その後の思想やトレンドを変えたクルマを紹介していきたい。

T型フォード(1908年)

T型フォード(正式にはモデルT)は、特に革命的なクルマだったわけではない。その製造方法が、世界を変えたのである。作業効率の高いベルトコンベア方式など、近代的なシステムを採り入れることで、それまでにない大量生産を実現した。

T型フォードは世界初の量産車と言われることもあるが、正確には、1901年から1907年の間に1万9000台が製造されたオールズモビル・カーブドダッシュがそれにあたる。とはいえ、T型フォードは一時期、米国の道路を走るクルマの半分以上を占めるほど作られた。

T型フォード(1908年)
T型フォード(1908年)

ランチア・ラムダ(1923年)

1923年まで、すべての自動車は、強度を高めるためにフレームとボディを別体式とする構造を持っていた。ランチア・ラムダは、世界で初めて一体式のモノコック構造を採用した乗用車である。より強く、より軽く、より安価なモノコック構造は、1960年代まで主要な自動車メーカーで採用されることはなかった。それだけ、ラムダは先進的だったのだ。

ランチア・ラムダ(1923年)
ランチア・ラムダ(1923年)

クライスラー・エアフロー(1934年)

商業的な成功を収められなかったため、競合他社は当初、そのデザインを真似したがらなかったが、クライスラー・エアフローが業界に与えた影響は大きい。このクルマは、空気抵抗を減らさなければ燃費効率を高めることはできないという事実を、自動車デザイナーに教えたのだ。戦後になると、エアフローの流麗なデザインが主流となった。

クライスラー・エアフロー(1934年)
クライスラー・エアフロー(1934年)

シボレーコルベット(1953年)

1950年代、グラスファイバー(ガラス繊維)は驚異的な素材として認知されていた。グラスファイバーは軽量かつ耐衝撃性に優れていたものの、スタウト・スカラブなどごく一部のクルマにのみ使われてきた。シボレーは、グラスファイバー製ボディを大胆に使用したスポーツカー、コルベットC1を1953年に発売。この動きは、後に世界中のスポーツカーメーカーが模倣することになる。

シボレー・コルベット(1953年)
シボレー・コルベット(1953年)

記事に関わった人々

  • 執筆

    AUTOCAR UK

    Autocar UK

    世界最古の自動車雑誌「Autocar」(1895年創刊)の英国版。
  • 翻訳

    林汰久也

    Takuya Hayashi

    1992年生まれ。幼少期から乗り物好き。不動産営業や記事制作代行といった職を経て、フリーランスとして記事を書くことに。2台のバイクとちょっとした模型、おもちゃ、ぬいぐるみに囲まれて生活している。出掛けるときに本は手放せず、毎日ゲームをしないと寝付きが悪い。イチゴ、トマト、イクラなど赤色の食べ物が大好物。仕事では「誰も傷つけない」「同年代のクルマ好きを増やす」をモットーにしている。

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