往復635kmの移動に挑戦 フォルクスワーゲンID.4 GTX(5) 長期テスト エコモードが1番

公開 : 2023.04.09 09:45  更新 : 2023.04.27 08:35

日本でも販売が始まったVWのEV、ID.シリーズ。クロスオーバー「4」の実力を、英国編集部が長期テストで確認します。

積算8402km 往復635kmをID.4 GTXで

筆者は、友人とグレートブリテン島の中部、マンチェスターまでクルマで向かう予定を立てていた。乗るべきは長期テスト車のフォルクスワーゲンID.4 GTXか、友人のセアト・イビザか、少し考えた。

ID.4 GTXは、高速道路での上質な走りが好ましい。一方で、質実なイビザもシンプルな個性があって嫌いではない。運転はより楽しめる。今回は沢山の荷物を運ぶ必要もない。

フォルクスワーゲンID.4 GTX マックス(英国仕様)
フォルクスワーゲンID.4 GTX マックス(英国仕様)

筆者の自宅から往復で635kmという、なかなかの長距離が気がかりではあったが、最終的にID.4 GTXで向かうことにした。グレートブリテン島の充電インフラがどこまで整っているのか、確かめる丁度いい機会になる。

マンチェスターでの充電は、安全性なども考えて宿泊先に敷設される充電器を利用することに。だが、ほかにも沢山の選択肢があることを知り頼もしく思えた。目的地へ到着した時点で、ID.4 GTXの駆動用バッテリーには約160kmぶんの電気が残っていた。

ところが、お目当ての充電器を利用するには、固有のサブスクリプション・サービスへ契約しなければならないと判明。充電ケーブルをまとめて、通常の駐車場へ停めることにした。高速道路のサービスエリアで充電できるため、その晩の必要性は高くなかった。

ガソリンスタンドと違い屋根のない充電器

帰路では、フォルクスワーゲンがインフォテインメント・システムへ実装しているカーナビを利用してみた。普段は、便利なグーグル・マップを頼っている。

このカーナビは、ウィ・チャージというアプリと連動しており、ルート上に存在する利用可能な充電器の場所を表示してくれる。ナビの使い勝手では及ばないとしても、かなり便利な機能ではある。

フォルクスワーゲンID.4 GTX マックス(英国仕様)
フォルクスワーゲンID.4 GTX マックス(英国仕様)

出発時点では、112km先にある150kWの急速充電器を目指した。しかし小心者の筆者は航続距離が心配になり、50kmほど手前のナッツフォード・サービスエリアへ立ち寄ることに変更。2基の充電器のうち、1基が利用可能だった。

充電速度は50kWと速くないが、25%の残量から80%まで、45分でこなせた。昼食を取るのに丁度良い時間になりつつ、ほかのBEVが並んでID.4 GTXの終わりを待つ様子もなかった。

1つ残念といえたのが、屋根がなかったこと。雨が降っていて、濡れながらケーブルをつなぐ必要があった。非接触タイプのカード決済が手短に済んだ点は、幸いだったが。

ガソリンスタンドの場合は、大きな屋根がかかっていることが一般的だと思う。まだバッテリーEV(BEV)はマイナーなのだと実感した。

約40kWh分の電気を得て、料金は約20ポンド(約3200円)。エネルギーコストの上昇で利用料金は大きく変動しているが、同じ距離のガソリンを補充するより安いことは間違いない。最終的に、充電インフラで大きく困らされることはなかった。

記事に関わった人々

  • 執筆

    ジャック・ウォリック

    Jack Warrick

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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