代車に来たポロの内装 フォルクスワーゲンID.4 GTX 長期テスト(9) ハードボタンの復活は?

公開 : 2023.05.28 09:45

日本でも販売が始まったVWのEV、ID.シリーズ。クロスオーバー「4」の実力を、英国編集部が長期テストで確認します。

積算1万9361km 居心地が良いポロのインテリア

長期テストで乗っているフォルクスワーゲンID.4 GTXは、プラスティック製のフェンダーモールを外してしまい、ディーラーでの修理になった。その代車でやってきたのが、Rラインのポロ。少し落ち込んでいたが、1週間ほど運転する機会を得た。

1.0Lの3気筒ターボガソリン・エンジンが載っていて、最高出力は111ps。7速デュアルクラッチATを介して前輪を駆動する、活発なハッチバックだ。ID.4 GTX級の鋭さはないものの、パワートレインの個性は濃い。

修理中の代車で来たフォルクスワーゲン・ポロ Rライン
修理中の代車で来たフォルクスワーゲン・ポロ Rライン

ポロへ乗り換えて真っ先に気がついたのは、インテリアの上質さ。正直にいってしまうと、ID.4 GTXよりずっと居心地が良い。上級グレードのRラインということもあって、内装パネルにはソフトタッチ加工がくまなく施され、素材の質感にも優れる。

車載技術も、ID.4 GTXを凌駕するといっていいだろう。英国仕様のポロ Rラインの場合、メーターパネルも10.25インチのモニター式。表示内容はカスタマイズでき、インフォテインメント・システムはアップルカープレイにも対応する。

ダッシュボード中央には、例によってタッチモニターが据えられている。ディスカバーメディア・システムが実装されるが、ID.4のディスカバーマックスより応答性に優れ、表示も見やすい。タッチモニターのサイズは、ID.4の方が12インチで大きいけれど。

内装にはもう少し特別感を与えるべき

エアコンの操作パネルも、ポロの方が使いやすいと思う。タッチセンサー式ながら反応が良く、イルミネーションが内蔵されているから夜間でも迷うことはない。

ダッシュボードなどには、実際に押せるハードボタンも幾つか残されている。マルチファンクションのステアリングホイールも、使い勝手で優れている。

フォルクスワーゲンID.4 GTX マックス(英国仕様)
フォルクスワーゲンID.4 GTX マックス(英国仕様)

ただし、ポロのRラインは少々お高い。代車のようにオプションのリーフメタリック・ブルー塗装で仕上げると、英国価格は2万5310ポンド(約407万円)。エントリーグレードのゴルフが買える金額になる。

それでも、内燃エンジンで走るポロ Rラインの方が、電気モーターで走るID.4 GTXより内装では高品質に感じられてしまう。倍近い英国価格も踏まえると、疑問を抱かずにはいられない。

ドイツ・ブランドのバッテリーEVは、一般的なユーザーにとってお手頃な価格とはいいにくい。インテリアにも、もう少し特別感を与えるべきだと思うのだが。

1週間後に修理を終えたID.4 GTXが戻ってきたが、ポロのインテリアを懐かしんだことは事実。タッチモニターやタッチセンサーは、例によって反応が今ひとつ。再生中の曲を誤って飛ばしたり、クルーズコントロールを意図せずオンにしたことは数え切れない。

記事に関わった人々

  • 執筆

    ジャック・ウォリック

    Jack Warrick

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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