ファミリーカーとしての可能性 フォルクスワーゲンID.4 GTX(4) 長期テスト 広々の車内

公開 : 2023.02.11 09:45  更新 : 2023.04.13 09:05

日本でも販売が始まったVWのEV、ID.シリーズ。クロスオーバー「4」の実力を、英国編集部が長期テストで確認します。

積算5730km 実用性は間違いなく高い

筆者の家族は、フォルクスワーゲンID.4 GTXを気に入っているようだ。過去の長期テスト車では、リアシートの広さや荷室の容量、足りない小物入れに不満を漏らされることが珍しくなかったが、珍しく不平を口にしない。

ID.4 GTXのパッケージングは、確かに素晴らしい。実用性は間違いなく高いといえるだろう。

フォルクスワーゲンID.4 GTX マックス(英国仕様)
フォルクスワーゲンID.4 GTX マックス(英国仕様)

荷室の容量はトノカバー下で543Lあり、大きな荷物を問題なく受け入れてくれる。AUTOCARの姉妹メディアの調べによると、機内への持ち込みが可能なキャリーケースなら、9個も載るらしい。日常的な買い物や、週末の小旅行ならまったく困ることはない。

ID.4 GTXの場合は、一般的なハッチバック・フォルムで、高さ方向にも余裕がある。空力特性を改善させるべく、クーペ風のルーフラインをまとったID.5と比較すると、明らかに有利だ。

一緒に暮らしているラブラドールレトリバーにとっても、ID.4の荷室は居心地が良い様子。フロアが調整式で、充電ケーブルはその下に収納できるため、犬がいたずらすることもない。

リアシート側にもゆとりがある。先日、筆者の祖父母を乗せる機会があったのだが、広さに感心していた。全長はフォードマスタング・マッハEより短いとはいえ、4584mmあるためコンパクトとはいえない。それでも、車内空間は長所の1つだろう。

これ以上パワーが必要だと感じさせない299ps

車内の各所に設けられた、小物入れも充実している。ドアポケットは1.5Lのペットボトルも入る大きで、ボディの隙間空間が巧みに利用されている。

フロントシートの背もたれ後面にも、雑誌などが入るポケットがある。長期テスト車の場合は、AUTOCARの最新号を載せておくのに丁度いい。

フォルクスワーゲンID.4 GTX マックス(英国仕様)
フォルクスワーゲンID.4 GTX マックス(英国仕様)

広々とした車内に定員の大人5名を乗せたとしても、動力性能に不足は感じない。ツインモーターが生む299psは、従来のGTIグレードと同等のスポーティさを生んでいる。

アクセルペダルの操作に合わせて、求めたパワーが瞬間的に発揮され、加速はスムーズ。0-100km/h加速6.2秒という俊足ぶりは、間違いなく運転の楽しさへ貢献している。

信号からのスタートダッシュで、交通の流れをリードすることなど朝飯前。郊外の幹線道路では、遅いトラックの追い越しを余裕をもってこなせる。

フォルクスワーゲンがGTXというグレードをどう展開していくのか、GTXを名乗るモデルがどの程度の動力性能を発揮するべきなのか、多様な意見をお持ちかと思う。だとしても、少なくともこれ以上パワーが必要だというドライバーは、限られるはず。

スマートフォン用アプリとの連携も完了した、長期テストのID.4 GTXと筆者との関係性は良好。不足ない航続距離と実用性は、これからの時代のファミリーカーとして、秀でた可能性を示している。

記事に関わった人々

  • 執筆

    ジャック・ウォリック

    Jack Warrick

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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