価格の近いID.5と比較 フォルクスワーゲンID.4 GTX(6) 長期テスト 動力性能や安定性が◎

公開 : 2023.04.22 09:45  更新 : 2023.04.27 08:34

日本でも販売が始まったVWのEV、ID.シリーズ。クロスオーバー「4」の実力を、英国編集部が長期テストで確認します。

積算8527km 荷室が広く航続距離が長いID.5

長期テストフォルクスワーゲンID.4 GTXは、ソフトウエア・アップデートのためにディーラーへ1度預けることになった。だが、少々不満のあるフォテインメント・システムの応答性や、音声制御や運転支援システムなどとは別の更新だという。

その間の代車としてやって来たのが、ID.4の兄弟モデルとなるID.5。基本的に駆動用モーターやバッテリーの選択肢は共通するが、ワゴンボディのID.4とは異なり、空力特性に優れたクーペ風のフォルムをまとっている。

フォルクスワーゲンID.4 GTX マックス(英国仕様)
フォルクスワーゲンID.4 GTX マックス(英国仕様)

リアガラスは大きく傾き、後端にはスポイラーも備わる。見た目とは裏腹に、荷室の容量はわずかに大きい。ID.4が543Lなのに対し、ID.5は549Lがうたわれている。

筆者に預けられたID.5は英国の中級グレード、テックで、上級のプロと同様に大きな77kWhの駆動用バッテリーを積んでいる。長期テストのID.4 GTXとも同じ容量だ。

しかし駆動用モーターはリア側の1基のみで、最高出力は173ps。航続距離は521kmが主張されている。長距離通勤をしている筆者だが、毎晩充電する必要はない能力を持つ。そして、装備内容はID.5の方が充実している。中級グレードでも。

フロント側はパワーシートだし、マッサージ機能も内蔵されている。ID.4と比べて、筆者に最適なドライビングポジションを探しにくようではあるが。1時間ほど運転したら、腰も少し痛くなってしまった。

胸のすく動力性能 ひたひたと走る安定性

それはさておき、ほかにもフロントガラスへ投影されるヘッドアップ・ディスプレイに、パノラミック・ガラスルーフも装備されている。インフォテインメント・システムは、ID.4 GTXのようにスマホのワイヤレス充電機能とアップルカープレイに対応する。

インフォテインメント用のタッチモニターは12.0インチで、ID.4やID.5では最大のものが実装される。表示は鮮明で見やすい。ソフトウエアの操作性や遅れ気味の反応は、長期テスト車と変わらないようではある。音声操作システムの理解度は高いと感じた。

フォルクスワーゲンID.5 テック(英国仕様)
フォルクスワーゲンID.5 テック(英国仕様)

発進させてみると、ID.4 GTXとの違いが大きくなる。ID.5 テックは四輪駆動ではなく、路面を確実に捉えるような印象が若干薄い。アルミホイールは19インチと、長期テスト車の20インチより1サイズ小さく、乗り心地は好印象だ。

サスペンションが標準なことも影響しているはず。ID.4 GTXには、スポーツサスが組まれている。快適性でいえば、ID.5 テックの方が有利といえるだろう。

しかし、ID.4 GTXの胸のすくような動力性能や、ひたひたと走る安定性は捨てがたい。筆者の場合、ヘッドアップ・ディスプレイに強く惹かれるわけでもない。シートの形状も、ID.4 GTXの方が自分の体型には合っている。

記事に関わった人々

  • 執筆

    ジャック・ウォリック

    Jack Warrick

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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