クラスベストの1台へ飛躍 レクサスUX 300eへ試乗 72.8kWhへ増量で航続449km

公開 : 2023.07.28 08:25

市街地で際立つ快適性 動的能力も向上

電動パワートレインも、しっかり改善されている。駆動用バッテリーには加熱モジュールが内蔵され、気温の低い朝でも直ぐに勢いよく走れる状態へ整えられる。

英国の一般道を走らせると、レクサスは相変わらず快適。日常的な速度域が、特に好ましい。チューニングを受けたサスペンションのおかげで、動的能力も僅かに向上したようだ。ラインを自在に調整できる、滑沢さまでは備わらないが。

レクサスUX 300e(英国仕様)
レクサスUX 300e(英国仕様)

姿勢制御は緩め。ハイスピードでのコーナリングが得意になったわけではないものの、タイトコーナーでアクセルペダルを踏み込むとトルクベクタリングが機能。コーナーの頂点めがけて、吸い込まれるように旋回していく。

もちろん、思いのまま右足へ力を込めていると、航続距離はみるみる縮んでいく。レクサスが施した個性のとおり、穏やかに走らせている方がベターだ。

ソフトなサスペンションのおかげで、舗装の荒れた区間でも衝撃に悩まされることはない。ステアリングホイールは軽く滑らか。パワーデリバリーはリニアで、過敏さもない。

子どもの学校への送り迎えや、市街地でのお買い物などでは、UX 300eの快適性が際立つ。乾燥した季節に備えて、エアコンには加湿機能も備わる。肌の状態を気にするご婦人に喜ばれるだろう。

ユーザーが期待する内容をそつなく満たす

コンパクト電動クロスオーバーへ求められる要件を、小改良後のUX 300eは多くのライバルより高水準で満たしている。メルセデスEQAと比較すると、こちらの方が英国価格はお安く、航続距離が長い。

英国ではベースグレードで4万7495ポンド(約854万円)から。トップグレードとなるタクミでは、5万7095ポンド(約1027万円)へ上昇する。

レクサスUX 300e(英国仕様)
レクサスUX 300e(英国仕様)

レクサスが最も多く支持されると予想する、ミドルグレードに相当するプレミアム・パッケージは、5万995ポンド(約917万円)。英国編集部も、UX 300eのスイートスポットになると考えている。

ブラインドスポット・モニターにベンチレーション機能付きシート、ヒーター内臓ステアリングホイール、パワーテールゲート、ワイヤレス・スマートフォン充電機能などが標準で装備される。残価設定プランの場合、月額700ポンド(約12万6000円)で乗れる。

一見すると従来のUX 300eと、大きな違いは感じられないかもしれない。しかし大きな駆動用バッテリーや改良されたサスペンション、新しいインフォテインメント・システムなど、有用なアップデートが施されている。

多くのユーザーが期待するであろう内容を、そつなく満たしている。このクラスでは、ベスト・チョイスの1台に躍り出たといっていい。

レクサスUX 300e(英国仕様)のスペック

英国価格:4万7495ポンド(約854万円)/5万7095ポンド(約1027万円/試乗車)
全長:4495mm
全幅:1840mm
全高:1540mm
最高速度:160km/h
0-100km/h加速:7.5秒
航続距離:449km
電費:5.3-5.9km/kWh
CO2排出量:−g/km
車両重量:1785kg
パワートレイン:AC永久磁石同期モーター
駆動用バッテリー:72.8kWh
最高出力:206ps
最大トルク:30.4kg-m
ギアボックス:シングルスピード(前輪駆動)

記事に関わった人々

  • 執筆

    ジョナサン・ブライス

    Jonathan Bryce

    英国編集部。英グラスゴー大学を卒業後、モータージャーナリストを志しロンドンに移住。2022年からAUTOCARでニュース記事を担当する傍ら、SEO対策やSNSなど幅広い経験を積んでいる。
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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