ミドシップのHVで四輪駆動 シボレー・コルベット E-レイへ試乗 歴代最速の0-100km/h 2.5秒

公開 : 2023.10.28 11:45

アメリカ代表のスポーツカー、コルベットがハイブリッドに 162psの電気モーターで四輪駆動 新次元の動的能力獲得 英編集部が北米で評価

ミドシップのハイブリッドで四輪駆動

フロントへV8エンジンを搭載し、リアタイヤを駆動してきたシボレーコルベットには、第8世代のC8で大きな変革が訪れた。歴代初となるミドシップへ生まれ変わっただけでなく、このE-レイ(E-Ray)ではハイブリッドで四輪駆動にもなっている。

ただし、フェラーリSF90 ストラダーレやランボルギーニレヴエルトのように、プラグイン・ハイブリッドではない。駆動用モーターが、フロントに1基載るだけだ。

シボレー・コルベット E-レイ(E-Ray/北米仕様)
シボレー・コルベット E-レイ(E-Ray/北米仕様)

リアアクスルを駆動するのは、通常のコルベット・スティングレイと同じく、プッシュロッド式の6.2L V型8気筒・自然吸気エンジン。LT2と呼ばれるスモールブロックで、デュアルクラッチ8速ATが組み合わされる。

フロントアクスルを担当するのは、162psと17.2kg-mを発揮する交流モーター。駆動用バッテリーは、シート間の大きなセンタートンネル内に仕込まれている。容量は1.9kWhと小さい。

最新のハイブリッド・スーパーカーと比べると、シンプルなシステムといえる。だが、かなり効率的な内容でもある。車重は通常のスティングレイから110kg増えたが、近年の電動化事例としては軽く抑えられた方だろう。

スタイリング上での差別化として、トップグレードのコルベット Z06と同じワイドボディが与えられている。全幅が90mm広がり、345/25 R21という極太のリアタイヤをホイールアーチに収めている。

タイヤは、ミシュランのオールシーズン・パターンが標準。 試乗車には、オプションのパイロットスポーツ4Sが組まれていた。

パッケージング上の妥協はほぼナシ

インテリアは、基本的に同じ。ドライバーの右膝付近に、チャージ+モードを選ぶ小さなボタンが追加されている程度。これを機能させると、駆動用バッテリーが積極的に充電されるようになる。

インフォテインメント用モニターには、駆動用バッテリーの充電量と、前後アクスルのパワー展開がわかる専用グラフィックを表示できる。少し高めの着座位置や、センターコンソール上に並ぶ沢山のボタンといった特徴は変わらない。

シボレー・コルベット E-レイ(E-Ray/北米仕様)
シボレー・コルベット E-レイ(E-Ray/北米仕様)

8代目コルベットは当初から電動化が想定されており、パッケージング上の妥協は殆どない。エンジン後方の荷室容量が、1.8L小さくなっただけ。フロントには、手荷物を積める浅いフランクが残されている。

ドライブモードには、V8エンジンを始動しない「ステルス・モード」が追加されているが、利用できる場面は限定的。イグニッションをオンにする前に選ぶ必要があり、72km/h以下までへ制限されている。

実際に走れる距離も8kmと短い。早朝や深夜に、ご近所へ迷惑をかけない機能として有効だろう。

ドライブモードには、ほかにツアー、スポーツ、トラック、ウェザーに加えて、コルベット・スティングレイと同じく、ダイナミック・モードも備わる。個々の設定を独自に調整して登録できる、マイ・モードとZモードも用意されている。

記事に関わった人々

  • 執筆

    マイク・ダフ

    Mike Duff

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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