間髪入れない怒涛のパワー メルセデスAMG GT 63 S Eパフォーマンス 4ドアクーペへ試乗 843psのPHEV

公開 : 2023.04.11 08:25

AMGの高性能サルーンGT 4ドアクーペにPHEV版が登場。843psという怪物を英国編集部が評価しました。

システム総合843psのプラグイン・ハイブリッド

筆者がロンドンの中心部を数時間運転した限り、メルセデス・ベンツGクラスとは7台すれ違った。だが、メルセデスAMG GT 4ドアクーペの姿を目にすることはなかった。現在のリッチな英国人の嗜好を表す結果といえる。

中古車市場を見ても、GT 4ドアクーペは数台しか売られていない。2018年に発表されたAMG独自のビッグ・サルーン、正確には5ドアハッチバックが、非常に珍しいことは間違いない。Gクラスも悪くないが、こちらも同じくらい魅力的だと筆者は思う。

メルセデスAMG GT 63 S Eパフォーマンス 4ドアクーペ(英国仕様)
メルセデスAMG GT 63 S Eパフォーマンス 4ドアクーペ(英国仕様)

英国に導入されているGT 4ドアクーペは、最近まで63 Sグレード1本だった。パワーが若干穏やかになる63も存在するが、強力なモデルを好む人が多いグレートブリテン島では販売されていない。

エンジンは4.0LのツインターボV8。最高出力は639psを誇り、英国価格は15万3755ポンド(約2475万円)に設定されている。

だが最近、17万7715ポンド(約2861万円)と更に高価な、63 S Eパフォーマンスがラインナップへ加わった。ボンネット内に収まるのは同じV8ツインターボだが、リアアクスル側に2速ATが組み合わされた203psの駆動用モーターが追加されている。

総合での最高出力は843psを誇る。流石に、5ドアハッチバックにこれ以上の馬力が欲しいと思うロンドンっ子はいないはず。メルセデスAMGでは、ハイパーカーのワンに次ぐパワフルさなのだから。

電気のみで走れる距離は12km 車重は2494kg

63 S Eパフォーマンスは、0-100km/h加速を2.9秒でこなす。最高速度は315km/hで、これは通常の63 Sと変わらない。主なライバルと呼べるのは、アウディRS7やBMW M5、ポルシェパナメーラなどになるが、群を抜いた能力といって構わないだろう。

プラグイン・ハイブリッド(PHEV)で、リアの駆動用モーター上部には容量6.1kWh
の駆動用バッテリーが搭載されている。環境性能より走行性能を重視しており、電気のみで走行可能な距離は12kmしかない。燃費は12.7km/Lがうたわれる。

メルセデスAMG GT 63 S Eパフォーマンス 4ドアクーペ(英国仕様)
メルセデスAMG GT 63 S Eパフォーマンス 4ドアクーペ(英国仕様)

駆動用バッテリーの位置からご察しの通り、実用性には多少の犠牲が出ている。システムの影響で荷室フロアは持ち上げられており、従来の461Lから335Lへ荷室容量は削られている。もっとも、沢山の荷物を運びたいならGクラスを選ぶのだと思うけれど。

PHEV化に伴い、車重は63 Sの2205kgから2494kgへ300kg近くも増えている。この質量を受け止めるため、カーボンセラミック・ブレーキが標準装備される。

外観上の差別化は最小限。専用のアルミホイールと、テールエンドのエンブレムなどがわかりやすい違いとなるだろう。また、フロントバンパーのデザインも若干異なることがわかる。

記事に関わった人々

  • 執筆

    マット・プライヤー

    Matt Prior

    英国編集部エディター・アト・ラージ
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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