ミドシップのHVで四輪駆動 シボレー・コルベット E-レイへ試乗 歴代最速の0-100km/h 2.5秒

公開 : 2023.10.28 11:45

歴代で最も加速が鋭いコルベット

普通に運転している限り、コルベット E-レイを走らせるのは、基本的にV8エンジン。意欲的な加速を求めると、フロントの駆動用モーターが瞬間的にトルクを加算する。同時に、スピーカーから合成音が再生され、アシストが加わったことを教えてくれる。

フルスロットルを与えると、V8エンジンの唸りが車内へ充満し、痛快なほど速い。ローンチコントロールでの0-100km/h加速は、2.5秒とうたわれる。これは、歴代で最も加速が鋭いコルベットであることを意味する。

シボレー・コルベット E-レイ(E-Ray/北米仕様)
シボレー・コルベット E-レイ(E-Ray/北米仕様)

圧倒されるダッシュ力や、タイトコーナーからの鋭い立ち上がりで、強化されたトラクションを実感する。カーブが連続する狭い区間では、2025mmある全幅を意識するものの、コルベット・スティングレイよりタイトに感じられた。

ブレーキは、カーボンセラミック・ディスクが標準で装備される。相当ハードに速度を落としても、熱ダレする様子はまったくなかった。試乗したカリフォルニア・サンダーヒル・レースウェイでも、遺憾なく能力を発揮してくれた。

最高速度は289km/hがうたわれるが、241km/hを超えると駆動用モーターはアシストを止めてしまう。それ以降は、ハイブリッド・システムは重りになるともいえる。

乗り心地は、穏やかなツアー・モードでは充分しなやか。それでも、根底には一定の硬さが残る。

Z06以上に限界領域はフレンドリー

コルベット E-レイの能力を完全に引き出すには、サーキットを走らせるしかない。一般道の速度域では、ハイレシオなステアリングのフィードバックが不足気味。だが、横方向の負荷が高まると、接地感が見違えて良くなるようだった。

リアタイヤのグリップ力が抜けても、フロントタイヤがボディを引っ張ってくれるため、コルベット Z06以上に限界領域はフレンドリー。ミドシップの高性能モデルとしては、制御不能な状態へ陥りにくいと思う。

シボレー・コルベット E-レイ(E-Ray/北米仕様)
シボレー・コルベット E-レイ(E-Ray/北米仕様)

北米市場向けのカタログを確認すると、コルベット E-レイは、冬の気候が厳しい地域へ対応する四輪駆動スポーツカーだとうたわれている。しかし、フロントの駆動用モーターが新たな次元の動的能力をもたらしたことは明らかだ。

C8世代のコルベットは、欧州市場への導入も検討されているという。恐らく、このE-レイが導入される可能性が高い。

シボレー・コルベット E-レイ(E-Ray/北米仕様)のスペック

北米価格:10万6595ドル(約1578万円)
全長:4699mm
全幅:2025mm
全高:1235mm
最高速度:289km/h
0-100km/h加速:2.5秒
燃費:−km/L
CO2排出量:−g/km
車両重量:1765kg
パワートレイン:V型8気筒6162cc自然吸気+AC電気モーター
使用燃料:ガソリン
駆動用バッテリー:1.9kWh
最高出力:502ps/6450rpm+162ps
最大トルク:64.8kg-m/5150rpm+17.2kg-m
ギアボックス:8速デュアルクラッチ・オートマティック+1速リダクション(四輪駆動)

記事に関わった人々

  • 執筆

    マイク・ダフ

    Mike Duff

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

関連テーマ

おすすめ記事

 

シボレーの人気画像