実力だけでなく価格もお高め プジョーE-208 51KWHへ試乗 新ユニットで158psと399km獲得

公開 : 2023.12.02 19:05  更新 : 2023.12.06 08:05

プジョーの小さなハッチバックEV、E-208がアップデート 改良版バッテリーとモーター獲得 実力は間違いないが価格もお高め 英国編集部が評価

ル・マン・マシンを思わせるスリークロー

最近になって欧州を訪れたことがある読者なら、新しいプジョー208を頻繁に目撃したことだろう。この小さなハッチバックは、どんな街でも見かけるといっていい。実際、2022年の欧州では最も売れたクルマに輝いた。

内燃エンジン版は、価格がお手頃。小さなサイズは、古い市街地にもぴったり。ストロングポイントが多いモデルだ。そんな208と、バッテリーEVのE-208がアップデートを受けた。

プジョーE-208 51KWH アリュール(欧州仕様)
プジョーE-208 51KWH アリュール(欧州仕様)

スタイリングでは、ひと回り大きなフロントグリルを獲得。バンパーの両サイドでは、ル・マン・マシンのプジョー9X8を思わせる、スリークローと呼ばれる3本のデイライトが灯る。精悍な顔つきになった。

インテリアでは、ダッシュボード上の10.0インチ・インフォテイメント用タッチモニターが標準装備に。システムの反応は素早く、メニュー構造がわかりやすく操作性は上々。欧州仕様のトムトムと呼ばれるカーナビも、直感的に目的地を設定できる。

アンドロイド・オートとアップル・カープレイにも対応。エアコンもタッチモニターで操作するのだが、温度設定などのボタンが小さく常時表示されるため、メニューを辿っていく必要は殆どないのも美点だろう。

新バッテリーとモーターで158psと399kmを獲得

そして、208シリーズのアップデートで最大のトピックが、新しいパワートレイン。内燃エンジン版では、1.0Lガソリンターボが電圧48Vのマイルド・ハイブリッドを獲得した。バッテリーEVのE-208では、駆動用モーターとバッテリーが更新されている。

従来のユニットと比較すると、駆動用モーターは135psから158psへ増強。駆動用バッテリーも、50kWhから51kWhへ僅かに容量が増やされた。航続距離は、362kmから399kmへ、1割ほど伸びてもいる。

プジョーE-208 51KWH アリュール(欧州仕様)
プジョーE-208 51KWH アリュール(欧州仕様)

今回試乗したのは、このバッテリーEVのE-208。ちなみに、従来の50kWhのバッテリーを指定することも可能だという。

電動パワートレインの印象は、選択したドライブモードによって大きく変化する。スポーツ・モード時は最高出力の158psが解き放たれ、アクセルペダルを6割ほど傾ければ、鋭い加速が始まる。0-100km/h加速は、8.2秒でこなせる。

ノーマル・モードではパワーが制限され、航続距離が伸びる。追い越し時などは、しっかりアクセルペダルを踏む必要が出てくる。エコ・モードは、エネルギー効率が最優先。加速は明らかに緩くなり、ドライバーには、ゆったりした気持ちも求められる。

シャシーは、ヘアピンカーブが連続する区間にも見事に対応。追加されたパワーを、フロントタイヤが受け止める。乾燥した路面の限り、停止状態からフルスロットルを与えても、トラクション・コントロールの警告灯が光ることは1度もなかった。

記事に関わった人々

  • 執筆

    AUTOCAR UK

    Autocar UK

    世界最古の自動車雑誌「Autocar」(1895年創刊)の英国版。
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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