4年前の優等生 今の実力はいかに? プジョーe-208 GTへ試乗 ハンサムさは変わらず 競合多し

公開 : 2024.04.30 19:05

以前はクラストップの実力を有したプジョーe-208 フェイスリフトでフロントマスクをリフレッシュ 高級感が滲み出る車内 動力性能に不満なし 英国編集部が評価

従来どおりハンサムなスタイリング

2023年の欧州で最も売れたクルマが、プジョー208だった。その電気モーター版、e-208がフェイスリフトを受けた。登場から4年が経過したが、今でもクラストップといえる内容にあるだろうか。

e-208は、充分な航続距離と急速充電能力、高級感あるインテリアなどを備え、バッテリーEVへ懐疑的な人の心を開く実力が評価されてきた。高価で特別なクルマではないという意識の普及へ、貢献してきた。

プジョーe-208  51kWh GT(英国仕様)
プジョーe-208 51kWh GT(英国仕様)

今回のフェイスリフトで、最もわかりやすい変化がフロントマスク。現行のプジョーらしく、「クロー」と呼ばれる縦に長いデイライトが特徴だが、後期型ではヘッドライトの下へ3本が並ぶ。

フロントグリルは、部分的にボディと同色に塗られ、放射状に広がるグラフィックを得た。アルミホイールには、新デザインが追加されている。

プロポーションが整い、ハンサムな印象は従来どおり。近年のプジョーでは、最もカッコいいコンパクト・ハッチバックだと思う。

e-208は、CMP(コンパクト・モジュラー・プラットフォーム)と呼ばれる構造を基礎骨格にしている。内燃エンジンにも対応しつつ、駆動用モーターと駆動用バッテリーにも対応する、汎用性の高いものだ。

エネルギー効率の良い、ヒートポンプ式エアコンは標準。車重は、内燃エンジン版と比較して約300kg重いが、重心が低くなるよう努力されている。急速充電能力は、最大100kWまで。BYDドルフィンより優秀だ。

高級感が滲み出る車内 癖のあるi-コクピット

駆動用モーターは、フロア部分へHのカタチに積まれ、容量は47kWhと50.8kWhの2種類。後者には高効率な駆動用モーターが組み合わされ、1度の充電で走れる距離に短くない差がある。

47kWhの方は発売当初から存在するユニットで、駆動用モーターは135ps。362kmの航続距離がうたわれる。対して、欧州ではトップグレードのGTのみとなる、50.8kWhの容量には156psのモーターが組まれ、最長399kmが主張される。

プジョーe-208  51kWh GT(英国仕様)
プジョーe-208 51kWh GT(英国仕様)

インテリアは、e-208のストロングポイント。ダッシュボードのデザインには、高級感が滲み出ている。

小径のステアリングホイールと高めのメーターパネルで構成される、i-コクピット・レイアウトは従来どおり。身長の高い人の場合、ステアリングホイールの位置がしっくりこない可能性が高い。もし購入をお考えなら、予め試乗することをオススメしたい。

インフォテインメント用タッチモニターは、10.0インチ。その下に、送風モードなどを選べる、鍵盤のようなハードボタンが並んでいる。ホーム画面と運転支援システムのショートカットキーは、タッチセンサー式だ。

内装は、手に触れる部分がソフトタッチ加工され、化粧パネルなどはグロスブラックとマットメタリック調でコーディネートされ、印象は良い。ただし、用いられる素材に高級感があるとはいいにくい。

リアシート側の空間は、このクラスとしては狭め。荷室は309Lと、平均的な容量がある。各所に設けられた小物入れや、USBポートは重宝するだろう。

記事に関わった人々

  • 執筆

    イリヤ・バプラート

    Illya Verpraet

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

関連テーマ

おすすめ記事