社会人1年目、ポルシェを買う。

2016.07.20

第23話:タイヤのいろいろ。3

photo:花村英典 (Hidenori Hanamura)



タイヤのいろいろ 2」を書くにあたり
保管や慣らしの方法、適切な空気圧など、
当たり前のように信じていたことのなかにも、
じつは間違っていたことが少なからずあった。

つぎに学ぶべきは、装着するタイヤについてだろう。

 
まずは価格から。
シャカイチ号の純正サイズの場合、
前:205/50ZR17 (89Y) = 50,050円/本
後:255/40ZR17 (94Y) = 54,280円/本

50,050円×2 + 54,280円×2 = 208,660円(!)
パトロンでもいないかぎり、自分では買えない、
おそろしい価格のタイヤを手にしたことになる。

タイヤの価格サイトでは、同サイズのタイヤならば
前後それぞれ最安で 3,600円/5,290円というのを
目にした。およそ10倍。ますます、たのしみである。

 
気になったのはNタイヤの ‘N’ について。
Nという文字がポルシェ認証タイヤを意味することは
知っているのだけど、同じ銘柄どうし、Nアリ/ナシ
ではどう違うのか? まさか名前だけでは……、
などと訝しんだことさえあった。正直にいって。

けれど、Nタイヤはそもそもゴムの内側、
スチール・ベルトの編み方から異なるという。

また、同じ銘柄でもNアリとNナシとでは
タイヤ・パターンそのものが異なるのだそうだ。
※厳密にはN3と同じパターンが欧州仕様に存在し、
 日本市場では、PS2 N3の名前で販売されている。

ちなみに日本国内のメーカーであれば、
「この新型車に対して、予算は◯◯円
 それに合うタイヤを作ってください」という
オーダーがあって、タイヤを設計するのだが、
これにたいして欧州のメーカーは
「こういったクルマをこれから作ります。
 クルマのパフォーマンスにあったタイヤを
 作ってください」といったオーダーがくるという。

きっと、ミシュランとポルシェが共同開発したときも
そういったやり取りが交わされたのだろうと想像する。
フェアにミシュランとポルシェと開発したことが、
販売開始日から12年もの時を経た今でも、
現行のポルシェに対応できる理由なのかもしれない。

余談だが同社がフォーミュラEにタイヤ供給するのは、
マシンのタイヤ・サイズが
前:245/40R18、後:305/40R18だから。
フォーミュラ1が13インチを使用するのに対し、
フォーミュラEは、そのサイズゆえ、市販用タイヤに
情報をフィードバックしやすいというのが理由である。

成果の得られるレースで得た内容を製品に反映させ、
なおかつ極めて冷静に(あるいは、いい意味で実利的に)
その道を選ぶというスタンスは、
勝手ながらポルシェとの共通項だと思った。

 

次回、ジャーナリストの石井昌道さんとともに
ミシュランPS2 N3の実力をつまびらかにします。
 
 
※今回も最後までご覧になってくださり、
 ありがとうございます。

 ちなみに、
 ・Nマークナシの場合は、
  最低限左右をそろえて購入する。
 ・どんなタイヤも片側がパンクすると
  左右そろえて交換する。
 ・4WDの場合は4輪の同時交換が理想とのこと。
 
 結局タイヤのどこをみればいいの?
 というのが、次回の焦点になるはずです。

 今後とも、[email protected] まで、
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